JRA エフフォーリア「菊花賞回避」は超ハードモード!? もはや地に堕ちた「最も強い馬」の権威、直接対決不可避コントレイルとの決定的な違い
菊花賞のステップ神戸新聞杯(G2)まで、コントレイルは同世代を相手に文句なしの圧勝続き。距離適性に多少の不安があったとしても勝算があったからにほかならない。現実にはアリストテレスに首差まで詰め寄られての辛勝だったため、レース後にはもう長距離には使わないと、陣営から“絶縁宣言”も出されたほどだ。
とはいえ、無事に無敗で三冠を成し遂げたことにより、コントレイルは父ディープインパクトに続く無敗の三冠馬という栄誉を手にすることに成功。引退後の種牡馬生活を考えると、ライバルとの競争に大きなアドバンテージとなるに違いない。
これに対し、エフフォーリア陣営が菊花賞を目指さなかった最大の理由として、考えられるのはダービーで敗れたため、三冠が懸かっていないことだろう。もし、ダービーを優勝して無敗の二冠を達成していたなら、おそらく2年連続での無敗三冠馬を目指して菊花賞に出走していた可能性が高い。
ただ、古馬中長距離G1となると、国内の選択肢は自ずと秋の天皇賞、ジャパンC(G1)、暮れの有馬記念(G1)が候補となる。最有力候補となりそうなのは勿論、天皇賞だけにコントレイルだけでなく、グランアレグリアやダノンキングリー、凱旋門賞を諦めたレイパパレとの戦いもありそうだ。
さらに、ダービー馬シャフリヤールも全兄アルアインが菊花賞で7着と振るわなかっただけに、回避する可能性も十分考えられる。
諸々の事情を考慮すると、エフフォーリアの菊花賞回避は、同世代を相手に戦うよりも超ハードモードとなるかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。