小倉はアウトで新潟はセーフ!? JRAの「矛盾」に調教師からは恨み節、背に腹変えられぬ死活問題に現場からは代替案を望む声が噴出? 西高東低だけに終わらない裏事情とは
先週の新潟は週中から酷暑で競馬開催日も37度を超えるような暑さだった。
JRAはオリンピックの開催を理由に昨年、夏場の3週間は小倉の開催を休止の決定。1年の延期となった今年も当然ながら、昨年同様の開催日程になった。
その一方で、その理由はオリンピック開催の有無より、暑さを論拠にしたものへと変わっていることは気になる話である。
関係者によると、あまりの暑さから小倉での開催は人馬に悪影響も考えられるため、来年以降も小倉での開催は、夏場の3週間は「オフ」になるという話で進んでいるらしいのだ。
ただ、これには関東の調教師からは“恨み節”とも思える猛反発もあった。
小倉の暑さを理由にするのであれば、新潟という地域も山に囲まれ、海の影響もあって高温多湿。もし環境が開催の決定事由だとするならば、新潟も議論の余地があるというのがその理由である。確かに暑さだけなら新潟も例外ではないというのも分かる。
そろそろ開催地の変更を考えてもいい時期ではないか、という声も出始めているようだ。
「現場レベルの話ですが、小倉を開催しない事で新潟の馬場を関西勢に貸し出すようなものですし、この時期の3週間は3歳未勝利の終わりが近づいていて特に大事な期間。
自ブロック制が取っ払われて新潟は関西馬の独壇場なんですよ。出走に必要な節のボーダーもグンと上がって、まずスタートラインに立てない関東馬が多く出ているのは問題です」(関東の調教師)
なら小倉をやっている時に使いに行けば、という声もあるだろうが、小倉開催時は福島や新潟でもやっているため、ブロック制が敷かれている。さらに、小倉は場所的に、急遽使いに行こうと安易にできるところではないという。
「美浦から小倉への輸送は10時間以上もかかります。だから今年の小倉でも7頭、8頭の少頭数のレースが頻発していました。生活の面で言えば、小倉の夏休みは正直やめて欲しいですよ。
関東馬にとって死活問題ですし。気候の面を持ち出すなら函館や札幌の開催日数を増やすなどして、他の方法も色々と考えてもらいたいです」(同)
勿論、この問題の背景に「西高東低」という関西馬の強さも無関係でないことも確かだが、地理的な面でも関東に不利な状況となっていることは、改善が必要なのかもしれない。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。