JRA C.ルメールは何故「クロノジェネシス×凱旋門賞(G1)」を断念したのか。「日本馬で勝てたら引退してもいい」もレシステンシアが最後の“貢ぎ物”?
実は先月の23日に、クロノジェネシスの凱旋門賞の鞍上がO.マーフィー騎手と発表された際、ネット上では『ルメール騎手じゃないのか』という声が多数あった。前走の宝塚記念(G1)でルメール騎手と新コンビを結成したのは、秋の凱旋門賞を見据えてと思われていたからだ。
もちろんコロナ禍を考慮して、現地の騎手が起用されたことも考えられる。だが、日本でオリンピックが開催された上、昨年は武豊騎手が凱旋門賞に騎乗するために渡仏していることからも、ルメール騎手が凱旋門賞に参戦することは決して不可能ではなかった。
そんな背景もあって、クロノジェネシスとマーフィー騎手との新コンビが発表された際、ネット上ではルメール騎手が騎乗しない理由として「グランアレグリアが凱旋門賞と同日のスプリンターズSに参戦するためではないか」という憶測が流れた。
しかし、その5日後の28日、今度はグランアレグリアが所属するサンデーレーシングが天皇賞・秋(G1)からの始動を発表したことで状況は一変……かねてから本馬の大目標とされてきた天皇賞・秋だが、日程的には仮にルメール騎手が凱旋門賞に参戦しても、14日間の自主隔離後に騎乗することが可能だからだ。
「ルメール騎手にとって凱旋門賞は母国のビッグタイトル。『日本馬で勝てたら引退してもいい』と公言するほど、思い入れのあるレースです。
そんなルメール騎手からすれば、馬場適性的に歴代最強のチャレンジャーとさえ目されているクロノジェネシスと凱旋門賞に参戦することは大きなチャンスだったはず。もちろん、乗りたいと言って乗れるものではないですが、断念するにはそれなりの“埋め合わせ”が欲しいこともまた事実でしょう。
そんな中で、仮に凱旋門賞に参戦すれば騎乗できない可能性が高い秋華賞(G1)はサトノレイナス、菊花賞(G1)ではセントライト記念(G2)で復帰するオーソクレースとのコンビが有力ですが、どちらもクロノジェネシスの凱旋門賞の魅力と比較すれば、やや物足りないのではと感じていました。
今回、レシステンシアとの新コンビが発表されましたが、ルメール騎手が抜擢されたのはそういった背景もあるかもしれません」(別の記者)
ちなみに凱旋門賞のクロノジェネシスを始め、サトノレイナス、オーソクレース、レシステンシアは、すべてノーザンファームの生産馬。近年、すっかり“蜜月関係”を築き、競馬界を席巻している両者だが、やはり連携は強固なようだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。