JRA 武豊の助言のおかげ!? 「お騒がせ」若手騎手が遂に連敗を「299」でストップ! 出世レース制し初勝利づくし
14日に行われた札幌10Rコスモス賞(2歳OP・芝1800m)は、未勝利馬の4番人気トーセンヴァンノ(牡2歳、美浦・小桧山悟厩舎)が勝利した。
道中は番手で控える競馬に徹し、4コーナーで逃げ馬を交わし先頭へ。直線では二枚腰を発揮し、後続の追撃を凌ぎ嬉しい初勝利を挙げた。
また、トーセンヴァンノの勝利によって父ヴァンキッシュランも産駒JRA初勝利を達成した。現時点でヴァンキッシュラン産駒は、同馬含めJRAでは2頭しか競走登録をしていない。数少ない産駒から勝ち馬が出たのは、関係者にとっても喜ばしいことだろう。
初勝利は他にもある。鞍上の山田敬士騎手は、これが2021年初勝利。昨年10月31日福島6R以来の久々の勝利となった。
今回の勝利について山田騎手は、「ハナに行こうと思えば行けましたが、主張する馬もいましたし、これまで控える競馬を続けてきたのでそれを崩さないように乗りました。直線で抜かれてももうひと踏ん張りしてくれたし、能力のある馬に乗せていただいて感謝しています」と笑顔を見せた。
トーセンヴァンノは、デビューから3戦全て芝1200mのレースを走っていた馬だ。これまで、2着が最高順位だった馬が初めての1800m戦で一気に変わり身を見せた。
武豊騎手は、先月10日にトーセンヴァンノへ騎乗し2着だった際、「もう少し距離があった方がいいようです」とコメントしている。武豊騎手の助言が無ければコスモス賞へ出走せず、山田騎手の連敗は止まらなかった可能性がある。
山田騎手と言えば、「競走距離誤認」を思い出す方も多いだろう。山田騎手は18年10月13日の新潟6Rでペイシャエリートに騎乗した際、コースを1周以上走るレースながら1周目のゴール板通過後に大きく減速しレースから離脱した。レース後、JRAから山田騎手が距離誤認をしたことが正式発表され、山田騎手は前代未聞の“お騒がせ”騎手として一躍有名になった。
山田騎手はコスモス賞まで、299連敗と長いトンネルに入っていた。山田騎手は今回直線外斜行により、2・3着馬へ不利を与え、過怠金計6万円の制裁を受けているが、騎乗馬の矯正を忘れるほど300連敗の大台突入を避けたい執念が感じられるレースに見えた。
コスモス賞は、ゴールドシップ・ステルヴィオなど後のG1馬が勝ち馬に名を連ね、2着馬からも未来のG1馬を輩出している出世レースとして有名だ。今年の勝ち馬トーセンヴァンノが山田騎手と共に将来出世していくか目が離せない。
(文=寺沢アリマ)
<著者プロフィール>
大手スポーツ新聞社勤務を経て、編集部所属のライターへ。サラ系・ばん馬のどちらも嗜む二刀流で「競馬界の大谷翔平」を目指すも収支はマイナス。好きな競走馬はホクショウマサル。目指すは馬券的中31連勝だが、自己ベストは6連勝と道は険しい…。