JRA キズナ産駒が「モノの違い」を見せつけた最速上がり33秒5! 「強い勝ち方」菅原明良も絶賛の大楽勝、惨敗のトレヴ近親サトノゼノビアと明暗
22日、新潟競馬場で行われた5Rの2歳新馬は、菅原明良騎手が騎乗した2番人気シンシアウィッシュ(牝2、栗東・吉村圭司厩舎)が快勝した。
「それにしても強い勝ち方」
菅原騎手がそう振り返ったように、この日のシンシアウィッシュは、ただ1頭「モノが違った」走りを披露したといえるだろう。
「まだ臆病なところがあるし、2歳馬らしいところがある」と注文は付けながらも、「これからしっかりしてくれば楽しみですね」と、パートナーに上々の評価だった。
14頭立てで行われた新潟外回りの芝1800m戦。脚質の定まらない新馬戦ということもあり、各馬の騎手も周りの出方を見ながらで先行勢は一団。先頭を走っていたイルチルコからベネロングポイントがハナを奪ったものの、1000m通過は64秒1と超スローペースで流れる。最後の直線を迎え、大方の予想通り瞬発力勝負となった。
だが、ここから一瞬で勝負を決めたのが、外目7番手を抜群の手応えで追走していたシンシアウィッシュ。残り200m過ぎで先行勢に並びかけると、そこからは後続馬を離す一方だった。
前残りした逃げ馬が穴を開けるシーンも目立っていた土曜新潟の芝コース。直線3番手から抜け出しを図った2着イルチルコに大楽勝の3馬身差。ゴール前では流す余裕もありながら、上がり3ハロン最速となる33秒5の末脚を繰り出したのだから恐れ入る。
「芝1800mでデビュー勝ちを決めたことから、陣営もクラシックを意識しているかもしれません。好スタートを決めつつ、様子を見ながらの進出であっという間に勝負を決めてしまいました。
ゴール前でもまだ余裕があったように、スタミナも問題なさそう。スピードについては未知数ですが、この切れ味は魅力です。キズナ産駒としても、楽しみな馬が登場しましたね」(競馬記者)
一方、戸崎圭太騎手とのコンビで、1番人気に支持されたサトノゼノビアは、明暗を分けた。同馬は2013年と14年の凱旋門賞(G1)を連覇したトレヴが近親にいる血統で、アーモンドアイを管理していた国枝栄厩舎の期待馬。高い評価を受けていたものの、追走に手間取ったまま、見せ場なく13着と精彩を欠いた。
レース前、国枝師は「出走は延びたけど、順調に来ている。懸念材料はないね」、「ディープインパクト産駒で軽い芝に適性がある」と期待していたが、予想外の惨敗を喫してしまった。
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。