【皐月賞(G1)回顧】「史上最強世代」に新王者誕生! ディーマジェスティの視線はすでに「世界」を見据える!?
時に立っているのも辛くなるほどの強風の中、”嵐”を切り裂いて突き抜けたのは蛯名正義騎乗のディーマジェスティだった。
「すべてが上手くいった」
開口一番で蛯名騎手がそう言ったように、まさに「ハマった」という表現が適切に見えた第76回皐月賞(G1)。粘り込みを図るリオンディーズ、エアスピネル、サトノダイヤモンドをあざ笑うかのように外から突き抜けたディーマジェスティの末脚はあまりにも力強く、そして強烈だった。
「史上最高」と称されるほど、素晴らしい素質馬たちが集った今年の皐月賞。例年にない大歓声の中で始まったレースは、「三強」の一角リオンディーズとM・デムーロ騎手が抑えきれずに外からハナを伺う波乱のスタート。
結局、逃げたのはリスペクトアース。リオンディーズは2番手。それを見るような形でエアスピネルと武豊騎手。C・ルメール騎手とサトノダイヤモンドは中団外目からいつでも動ける絶好の位置取り。川田将雅騎手とマカヒキ、蛯名騎手とディーマジェスティは後方から脚を溜める競馬を試みた。
前半の1000m通過が58.4秒と皐月賞らしい厳しい流れ。ペースメーカーを務めたリスペクトアースが早々に脱落し、リオンディーズが押し出されて先頭へ。4コーナーを回ったところで、マウントロブソンやエアスピネルらが先頭に並びかける激しい展開のまま、最後の直線へ突入した。
誰もが「最強世代」の覇権を握るため、積極果敢に攻めた。だが、攻めたからこそ、最後の最後になって”強い追い風”を味方につけたのは、後方で脚を溜めていた馬たちだった。
最後の200mを切った直後、ここまで極めてハイレベルな皐月賞のレースを、そして「世代」そのものを牽引してきたリオンディーズに”限界”が訪れる。デムーロ騎手の右ムチを受けたリオンディーズが、大きく外側に斜行。煽りを受けたのは、必死に食い下がっていたエアスピネルとサトノダイヤモンドだった。
限界がきたリオンディーズと、不利を受けたエアスピネルとサトノダイヤモンド。先頭集団の脚が止まり掛けた瞬間、外から異次元の末脚でまとめて抜き去ったのがディーマジェスティだった。