JRA「史上初」横山親子が “3連複”の快挙!「父兄参観」父・典弘は新潟で存在感、達成の裏に“空気を呼んだ” 武豊の存在
28日はJRA史上初の快挙が達成された、記念すべき1日となった。
この日、土曜札幌で行われた11RオホーツクS(3勝クラス)で、アンティシペイト(牡4、美浦・国枝栄厩舎)が1番人気の支持に応えて勝利。その結果、1着横山和生、2着横山武史、3着横山典弘という親子ジョッキーによる“3連複” の快挙となった。
これまで達成されていた父子騎手のワンツー決着は4例ほど。過去に横山典、鮫島克也、木幡初広、岩田康誠の例があったが、父子で3着以内を独占したケースはJRA史上でも初だった。
勿論、これにはアンティシペイトを、好騎乗で勝利へ導いた和生騎手の功績が大きい。
「脚を溜めてもシュッと切れる感じがないので、4コーナーでは外を回ってでも勢いをつけて行きました」
レース後のコメントからも、騎乗馬の特徴を把握した完璧なレース運びが際立つ内容だった。
15頭立ての芝2000m戦。横山和騎手とアンティシペイトは、中団やや前の7番手からのポジションで追走する。中盤でラップが緩んだ際、後続馬がワンテンポ早めに上がるシーンもあったが泰然自若。最終コーナー手前から行き脚をつけつつ、大外から豪快に末脚を炸裂させた。
本人も「今までのパターンとは違った形」と振り返ったように、これまでは逃げ先行で好結果を出していたアンティシペイトとしては、新しい勝ちパターンだ。
レースでは初騎乗だったものの、「ずっと調教に乗せてもらってコンタクトを取っていました」という横山和生騎手。それまでにパートナーと“対話” をしてきたことも、新味を引き出した自信に繋がったはず。
息子二人のワンツーを最前席で見届けた横山典騎手。本人も触れているように、騎手という同じ職業で成長を確認できることは、父親冥利に尽きるだろう。
騎手を引退して調教師転身も噂される関東の大ベテランは、“父兄参観”がモチベーションアップとなったのか、日曜新潟で存在感を見せる。騎乗したのはたった1鞍ながら、10R朱鷺S(L)を1番人気カイザーミノルでしっかりと勝利した。
「数か月前から典に予約してたんだ」
同馬を管理する北出成人調教師のコメントからも、横山典騎手への絶対的な信頼が伝わってくる。師の期待に一発回答したように、その手腕はまだまだ健在である。
そして、“記録男” として有名な武豊騎手もまた、横山親子の快挙と無関係ではない。
勝ち馬アンティシペイトは、昨年の菊花賞(G1)でコンビを予定していたが、除外により実現しなかった経緯がある。
史上初の快挙が達成されたレースで、自身は5番人気のシンボに騎乗して4着。かつてのパートナーが、結果的に空気を読んだ格好となったのは、さすがというべきか。
横山典騎手とは、プライベートでも昵懇の仲で有名な武豊騎手だけに、一役買ったことを喜んでいるかもしれない?
(文=高城陽)
<著者プロフィール>
大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。