JRA神様、仏様、川田様!? 3歳未勝利「最後の闘い」最後にすがるのは、やはり日本人ナンバー1ジョッキー【土曜編】
いよいよ最終週となった2021年の夏競馬。それは同様に、現在行われている3歳未勝利戦も最後の2日間を意味する。
昨年から今年にかけてデビューした現3歳馬は、この2日間で勝利できなければ引退か地方競馬へ移籍、あるいはJRAに在籍しながら格上挑戦に臨むという、3つの選択肢が残される。JRAで活躍を見込んでいた馬主としては、そのいずれも望んだものとはいえず、この未勝利戦にかける期待は相当なものと言えるだろう。
今週も土日で合計17レースの3歳未勝利が行われるが、出走馬にはセレクトセールで1億円を超える高額で落札された馬であったり、サンデーレーシングやキャロットファームなどの大手クラブにて高額募集された馬、外国産馬やディープインパクト産駒の良血馬など、様々な馬が出走する。
関係者の期待を背負って挑む“最後の聖戦”は、どんなレースになるだろうか。
その中で多くの陣営にとって重要なのはジョッキーと言えるかもしれない。馬に力があっても、やはりこの時期の3歳未勝利は特別なレース。経験とプレッシャーに耐えるだけの胆力が騎手に求められるのだ。
そのジョッキーの中でも関西トップジョッキーの川田将雅騎手は3歳未勝利戦で絶大な勝率を誇っている。現在JRAで105勝をあげているが、そのうち28勝が3歳未勝利。新馬戦を含めれば数多くの現3歳世代を勝たせており、その実績と信頼は相当なもの。
今週はそんな川田騎手を確保し、最後のチャンスで勝利を目指す馬が2頭出走する。川田騎手は騎乗馬を厳選して挑む傾向があるだけに、いずれも期待の馬だろう。
注目馬が揃った今週行われるすべての3歳未勝利戦。今週も現地で取材を行う記者たちの枠順確定後の最終情報を踏まえた注目馬を紹介する。
■土曜の3歳未勝利と注目馬
札幌3R【芝2000m】ラヴィエント
最後の勝利を目指して連闘で挑む馬が5頭もいるように、かなりの混戦模様。8月で3走しているラヴィエントは使い詰めだが、滞在競馬でなんとか状態を維持。セレクトセールの取引馬でもあり、何とか勝たせたいと力が入っている。
札幌4R【ダ1700m】マテンロウアレス
ここも6頭が連闘だが同馬もその1頭。前走は首の上げ下げで勝ちに等しい内容。「あとは勝ち運だけ。未勝利で終わる馬じゃないので、何とかしたい」と関係者も祈るような気分。連闘でも体調は維持できており期待したい。
新潟3R【ダ1800m】カンリンポチェ
ここまで3戦連続2着と勝利まであと一歩。新潟向きの脚質。馬場を問わないのもプラス。休み明け3戦目、最終週に合わせて万全の調整で三浦皇成騎手も「何とかしたい」と。ただしイモータルソウル、ズールウォリアー、ミッキーセサミら強敵も多数。
新潟6R【芝1600m】ホウオウマルゴー
セレクトセールで1億3000万円のディープインパクト産駒。立て直した前走が好内容。血統的にも素質は上。「極端に馬場が悪くならなければ…」とスタッフ。稍重までなら。能力高いブラウシュヴァルツも要注意。
新潟7R【芝1800m】エンプレスソウル
丸山元気騎手はコロナ感染でM.デムーロ騎手が騎乗。前走は内回りと展開が不向き。今回は現状ベストの外回りコース。「出走を1週延ばして状態も上がった。何とか勝ち上がってほしい」とスタッフも気合が入る。球節に不安があったギャラクシーエッジは「脚を余した前走は度外視できるが、肝心の状態は前走より上がっていない」とのこと。気性に難があるシゲルシャインは真面目に走れば上位、おさえに一考。
小倉3R【芝1200m】ウォーターイグアス
4戦連続で2~3着と安定、前走も勝ち馬とは同タイム。「騎手も手の内に入れている。力を出せば結果はついてくるはず」とスタッフ。幸英明騎手も以前から「すぐに勝てる」と語っていた勝負の一頭。
小倉4R【芝2000m】レッドアストラム
休み明けを叩いて勝負の一戦。小倉コースは合っており、陣営も力が入るレース。戦ってきた相手からも力は上。
小倉6R【ダ1000m】ララシャンドン
デビュー戦は大出遅れも上がり34秒3の豪脚を見せつけて4着に好走。1度使った上積みは大きく川田騎手を確保して勝利を期す。スタートが決まれば圧勝も。間隔を開けて仕上がり万全のシンゼンシャインが強敵。
(文=仙谷コウタ)
<著者プロフィール>
初競馬は父親に連れていかれた大井競馬。学生時代から東京競馬場に通い、最初に的中させた重賞はセンゴクシルバーが勝ったダイヤモンドS(G3)。卒業後は出版社のアルバイトを経て競馬雑誌の編集、編集長も歴任。その後テレビやラジオの競馬番組制作にも携わり、多くの人脈を構築する。今はフリーで活動する傍ら、雑誌時代の分析力と人脈を活かし独自の視点でレースの分析を行っている。座右の銘は「万馬券以外は元返し」。