JRA川田将雅騎乗の「期待馬」が厩務員のヘルメットを弾き飛ばす大暴れ!? 「少しでもズレていたら……」パドックあわや大惨事
4日、小倉競馬場で行われた2歳新馬戦(芝1200m)は、3番人気ダークペイジが優勝。2~3着に人気薄が飛び込み、三連単は40万円超えの波乱となった。
高配当の要因となったのは、1~2番人気馬がそろって凡走したことだろう。単勝1.9倍ながら12着に敗れたメルヴィルも然ることながら、同4.5倍の2番人気ヨーデル(牡2歳、栗東・森秀行厩舎)は“お騒がせ”の末に8着に沈んでしまった印象だ。
外国産馬のヨーデルが人気を集めた理由は主に2つ。鞍上がリーディングを争う川田将雅騎手だったこと。そして、もう一つが坂路で好時計を連発したことも評価を上げていた。
先月25日の1週前追い切りでは、この日の2歳馬1番時計(50秒2-12秒3)をマーク。1日の最終追い切りでも、5日の小倉2歳S(G3)に出走する僚馬のデュガに次ぐ2番時計(50秒5-12秒2)をたたき出すなど、栗東坂路で上々の動きを披露していた。
仕上がりの良さはレースにも直結するのか。好スタートを決めると3番手のインを確保した、ように見えた。ところが川田騎手の思惑とは裏腹に、追っつけ通しで先行勢について行くのがやっと。ヨーデルは徐々に位置を下げ、4コーナーを迎えたときは5番手集団にいた。最後の直線でジリジリとは伸びたが、8着になだれ込むのが精いっぱい。勝ち馬に1秒3差の完敗だった。
そんなヨーデルの敗因を一つ挙げるとすれば、レース約30分前に起こったあるアクシデントが影響していたかもしれない。
「まだ川田騎手が跨がる前でしたが、パドック周回中にヨーデルが突然立ち止まり、両前脚を高く上げてしまいました。するとその前脚が担当厩務員さんのヘルメットを直撃。ヘルメットが弾き飛ばされてしまいました。興奮したヨーデルは馬体をクルクルと2回転させ、危険を察したのか後続馬も怯む事態に……。厩務員さんも一瞬引き手綱を放してしまい、放馬する恐れもありましたが、すぐにつかみ直し、事なきを得ました」(競馬記者)
ちょうどこのシーンは、グリーンチャンネルでも放送されており、目にしたファンも多いのではないだろうか。SNSなどでもヨーデルと同馬を引いていた厩務員に対し、心配する声が上がったのは言うまでもない。
「ヘルメットを弾き飛ばされた厩務員さんは何事もなかったように振る舞っていましたが、場所(頭部)が場所だけに『少しでもズレていたら……』と考えるとゾッとしますね。それまでは、おとなしく周回していたのですが……。これが直接の敗因とは言いませんが、ファン心理としては同馬の馬券は買いづらくなったのは間違いないでしょう」(同)
事実、パドックでの“素行”が嫌われたのか、ヨーデルの単勝オッズはパドック周回時点で3.7倍ほどあったが、最終オッズは4.5倍まで人気を落としていた。
川田騎手がスタートからゴールまでほぼ追い通しだったように、ズブい面があるのは間違いない。これを受けて陣営は距離延長も検討していくはずだ。それと同時に気性面の課題もクリアする必要がありそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。