JRA 「武豊×ノースヒルズ」も“キズナ”は深まらない!? コントレイルと同じ「秋競馬2週目デビュー」期待馬トゥデイイズザデイに圧し掛かる不安点とは
“最高の一日”になるのだろうか……。
19日、中京競馬場の芝2000mで行われる新馬戦で、ノースヒルズ生産馬であるトゥデイイズザデイ(牡2歳、栗東・池江泰寿厩舎)がデビュー予定。POG(ペーパーオーナーゲーム)でも人気となった馬で、今週デビュー馬の中でも注目度は高い。
元々はランスロットという馬名で登録があったが、その後トゥデイイズザデイに変更。また、ノースヒルズ生産馬で「秋競馬2週目デビュー」といえば、昨年の牡馬クラシック三冠馬コントレイルもおり、“最高の一日”という馬名の由来からはオーナーの期待が感じられる。
父は日本の至宝ディープインパクトで、同じ池江厩舎に所属する半兄ヴィヴァン(父ハーツクライ)は、新馬戦で後のダービー馬シャフリヤールとマッチレース。そのヴィヴァンも今週18日の中京9R金山特別に登録しており、ともに騎乗を予定する武豊騎手も兄弟での土日Vに手応えを感じ取っているはずだ。
ただ、そんなトゥデイイズザデイにも、不安な点があるという。
「武豊騎手が騎乗しますし、兄のヴィヴァンがシャフリヤールに引けを取らない能力と仮定すれば、弟にかける期待も大きいのは当然です。
ただ、ヴィヴァンがノースヒルズ所有(デビュー当時)だったことに対して、トゥデイイズザデイは前田葉子氏。どういった経緯かはわかりませんが、過去のデータからは不安に感じる点もないとはいえませんね……」(競馬誌ライター)
過去のノースヒルズ生産馬の成績を調べてみると、確かに所有者によって成績はまちまち。あくまでデータ上の数字ではあるが、葉子氏の所有馬が見劣る点は否定できない。
■ノースヒルズ生産馬の所有者別成績(成績、勝率、連対率、複勝率)
ノースH(170- 191- 198-1639/2198) 7.7% 16.4% 25.4%
前田幸治( 73- 80- 55- 610/ 818) 8.9% 18.7% 25.4%
前田晋二( 63- 57- 49- 432/ 601)10.5% 20.0% 28.1%
前田幸貴( 17- 6- 4- 40/ 67)25.4% 34.3% 40.3%
前田葉子( 15- 7- 3- 138/ 163) 9.2% 13.5% 15.3%
前田幸大( 0- 0- 0- 1/ 1) 0.0% 0.0% 0.0%
※レース時の所有者で集計
葉子氏の所有馬は、勝率で見劣らないものの複勝率が15%台と少々見劣る成績。ブランボヌールで2度のG3勝ちもあるが、その際の鞍上が武豊騎手ではなかった点も気になるところだ。
一方で、幸治氏はワンアンドオンリーで日本ダービー(G1)を制覇。晋二氏に至っては、武豊騎手が騎乗したキズナでダービー制覇、コントレイルではG1を4勝もしており、ビッグレースでも大きな差が生まれている。
はたして、葉子氏が所有するトゥデイイズザデイは、キズナのように武豊騎手と“絆”を深めることができるのだろうか……。まずはデビュー戦を勝利し、同馬にとって現時点での“最高の一日”になることを期待したい。
(文=北野なるはや)
<著者プロフィール>
某競走馬育成牧場で働いた後、様々なジャンルの仕事で競馬関連会社を転々とする。その後、好きが高じて趣味でプログラミングを学習。馬券には一切のロマンを挟まないデータ派であるが、POG(ペーパーオーナーゲーム)では馬体派という奇妙な一面も持つ。