JRA 名物「珍名馬」オーナーの期待馬が“出世”レースに登場! ユニークな名前を付ける原点と馬名通りになる可能性

 9日、東京競馬場で11R・サウジアラビアRC(G3)が行われる。前身いちょうSではメジロドーベル・エアグルーヴ、近年はグランアレグリア・サリオスと後のG1馬を輩出している出世レースだけあって、今年も将来性豊かな2歳馬が集った。

 その中で一際異彩を放っているのが、小田切有一氏の所有馬ウナギノボリ(牡2歳、栗東・音無秀孝厩舎)だろう。

 小田切氏はウナギノボリをはじめ、個性的な名前の馬を多数所有していることで有名な名物オーナーの一人だ。主な活躍馬として06年高松宮記念(G1)を制したオレハマッテルゼ、JRAで初めて馬名に「ヲ」が用いられたエガオヲミセテなどが挙げられる。

「最近になって珍名馬は増えましたが、そのブームを巻き起こしたのが小田切氏と言えるでしょう。

競馬史上に残る“迷実況”と知られる『モチが粘っている!』『逃げる逃げるオマワリサン』はどちらも小田切氏の所有馬から生まれました」(競馬誌ライター)

 一度聞いたら忘れられないユニークな名前を付け続ける小田切氏だが、その原点は一体何なのか。小田切氏のご子息・光氏は『ORICON NEWS』のインタビューにて「(父は)競馬ファンがいるから自分は競馬に携わることができる。だから、ファンに楽しんでいただくために、面白い名前を付けようと決めたそうです」と、答えている。

「馬主になる前は、いち競馬ファンだった小田切氏ですが、新聞に並ぶ馬の名前を見て、『もっと面白かったらいいのに』と思っていたそうです。

その想いを馬主になっても忘れなかったからこそ、迷実況が生まれているのでしょう」(同ライター)

 そうして馬名で競馬界を盛り上げてきた小田切氏だが、近年は所有馬を減らしてきているという。

「毎年数多くの珍名馬を所有し、デビューさせた小田切氏ですが、現在所有しているのはウナギノボリ1頭のみです。

現在御年78歳を迎えるからでしょうか。馬主業はカラテのオーナーでお馴染みの光氏が“珍名イズム”と一緒に継いでいますが、寂しいの一言に尽きます」(同ライター)

 小田切氏唯一の所有馬となったウナギノボリだが、その母も小田切氏がかつて所有していたノンキだ。「速さ」が命のサラブレッドに名付けてはいけない気もするが、幸い息子は呑気ではなさそう。デビュー戦では、メンバー上がり3F最速の脚で馬群の間を縫って差し切り勝ち。デビュー2戦目で重賞の舞台に駒を進めることができた。

「デビュー戦に騎乗した和田竜二騎手は『つかみどころがないのが逆にいい』と、馬名に掛けた評価をしていました。良い末脚を持っているので、直線が長い東京競馬場も向いていると言えます。

また、中間の状態について音無師は『調教は動きました。いい状態になっていると思います』と、気配も“うなぎ登り”であることをアピールしていました」(同ライター)

 今回は光氏の愛馬カラテの主戦である菅原明良騎手が騎乗する予定だ。G1馬を多数輩出した出世レースを制することになれば、評判も“うなぎ登り”になることだろう。

(文=坂井豊吉)

<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……

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