JRA 復帰初戦はまさかの落馬!「新規顧客」から“ご祝儀”も? 半年ぶりにターフに帰ってきた古川奈穂はチャンスを掴めるか
9日(土)の阪神開催から復帰した古川奈穂騎手が、早くも競馬ファンの注目を集めている。
復帰初戦の阪神2Rでは、発走直後に岩田康誠騎手が騎乗していたシュルヴィーヴルがバランスを崩して落馬すると、それを避けようとした古川奈騎手も落馬……カラ馬となったシュルヴィーヴルが、地面に倒れ込んだ同騎手の上を通過するなどヒヤリとするシーンもあり、SNS上でも「巻き込まれて可哀想」「大事に至らなくて良かった」といった書き込みも散見するなど、ちょっとした騒ぎとなった。
古川奈騎手は、続く8Rで3番人気のカイザーノヴァに騎乗。結果は7着と人気に応えることはできなかったものの、まずは無事にレースを終えることができた。
復帰初戦はまさかの落馬で、注目を集めてしまった古川奈騎手。10日(日)に騎乗予定の4鞍も、バラエティに富んだ出走馬が集まった。
まずは3Rで騎乗するコパノサンタフェは「コパ」の冠名で知られる小林祥晃氏の所有馬。続く4R新馬戦のライクアムービーは山口敦広氏の所有馬だが、古川奈騎手にとってはデビュー以来、それぞれ小林氏、山口氏の両オーナーの馬に騎乗するのは初めてのこと。いわゆる“ご祝儀”なのか、復帰直後に「新規顧客」から2頭もの騎乗機会を得ている。
さらに7Rのメイショウコホクは、ご存知「メイショウ」で有名な松本好雄氏の所有馬。実は古川奈騎手が「メイショウ軍団」の馬に騎乗したのは過去1度しかなく、こちらも“復帰祝い”の意味合いがあるかもしれない。
また最終12Rで騎乗するモズピンポンも力の入る一頭。自身が所属する矢作芳人厩舎の管理馬で、コンビで白星を挙げた馬でもある。
復帰までの道程を振り返れば、4月25日の新潟競馬で騎乗後、左肩に違和感を覚えて休養に入った古川奈騎手。5月11日には手術を行い、リハビリを乗り越えて8月には乗馬も再開できるまでに回復した。
9月23日、オンライン会見では「パワーアップして復帰することを目標にしていた」と語ったように、フィジカルトレーニングはもちろん、精神面や技術面も磨くために休業中は毎週、同期全員の騎乗をチェックしていたという。
誰でも閲覧可能なオンライン会見だからこそ、その地道な努力は多くの競馬関係者が知るところとなり、表には出ないが「陰ながら」応援している関係者も多いのではないだろうか。先述したオーナー達も、そのうちのひとりかもしれない。
一方の古川奈騎手は、好結果を残して少しでも馬主らの関係者にアピールしたいところ。「新規顧客」からの信頼を勝ち取るほか、関西圏を代表する「メイショウ軍団」の松本オーナーにも好印象を与えることができるか。さらに最終レースで勝利すれば、師匠・矢作師への恩返しにもなる。
いずれにせよ、復帰直後にも関わらず土・日で6鞍もの騎乗機会を得た古川奈騎手。このチャンスをモノにすることができるか、日曜の手綱さばきにも注目したい。
(文=鈴木TKO)
<著者プロフィール> 野球と競馬を主戦場とする“二刀流”ライター。野球選手は言葉を話すが、馬は話せない点に興味を持ち、競馬界に殴り込み。野球にも競馬にも当てはまる「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」を座右の銘に、人間は「競馬」で何をどこまで表現できるか追求する。