【徹底考察】マイラーズC(G2) ダノンリバティ&テイエムイナズマ「好調2頭は大本命フィエロの脅威になり得るのか」
【血統診断】
・ダノンリバティ
キングカメハメハ×エリシオという配合は、今年になって芝の中距離戦線で頭角を現してきたヤマニンボワラクテが該当する。日本のダービー馬×凱旋門賞馬という配合なのだから、本来であればヤマニンボワラクテのような芝の中距離馬が妥当な配合。だが、本馬の牝系は、ヴァーミリアンを筆頭に数々のダート活躍馬を送り出しているスカーレットレディ一族。本馬が芝をこなしながら、高いダート適性を持っているのもそのためだ。スケールを感じる成長力にも富んだ配合で、今後もしも芝で頭打ちになってもダートで再び開花する可能性があるだろう。ただ、そんなパワー型の血統だけに、開幕週で平坦コースの京都マイル戦に一抹の不安はある。
・テイエムイナズマ
ブラックタイド×ダンチヒという配合の主な活躍馬は本馬以外にいない。ただ、ブラックタイドはサクラバクシンオーとの配合で菊花賞馬キタサンブラックを輩出しているように、全弟のディープインパクトよりもスピードやキレで劣る分、スタミナやパワーが特徴的な種牡馬だ。ディープインパクト産駒はほぼダートがダメな一方、ブラックタイドからはダートで持ち味を発揮する産駒も出ている。つまり、血統こそ同じだが、タイプはまったく異なる種牡馬であるということだ。ただ、それ故に全弟ディープインパクトの産駒が得意とする軽い芝コンディションの京都マイル戦では、スピード不足が気掛かりだ。なお、母方はスピード色の強い血筋で、血統的には長距離よりもマイル戦の方が遥かに適性は高そうだ。
≪結論≫
出走馬に強力な逃げ馬が見当たらない以上、今年のマイラーズCも瞬発力勝負になる可能性が高い。昨年は最初の3ハロンが35.3秒、上がり3ハロンが33.2秒という極端なスローペースだったが、上がり1位のディアデラマドレは31.9秒という驚異的な末脚を繰り出しながら7着に敗れている。つまり、それだけ先行有利な流れだったということだ。中団・後方から「しぶとい末脚」を繰り出す2頭にとって、そんな流れはなんとしても避けたいところだ。だが、両頭とも自分でペースを作るタイプでもないだけに、少しでもペースが上がることを祈るしかない。そして、少なくともいつもよりは積極的な位置で競馬をしたいところだろう。
「考察」の中で述べた通り、この2頭はまだまだ適性を探っている段階なのかもしれないが、少なくとも開幕週の京都コースで行われるマイラーズCは決して適性の高いレースではなさそうだ。上位進出には展開の助けが望まれるだろう。
(監修=下田照雄(栗東担当))