JRA M.デムーロ「低迷」のきっかけはドウデュースの調教師!? 復権に欠かせないのは失った信頼関係の改善か
19日に阪神競馬場で行われた朝日杯FS(G1)をドウデュースで制した武豊騎手は、通算22度目の騎乗で待望の同レース初勝利を手に入れることに成功した。
この勝利でJRA・G1完全制覇にリーチとなった競馬界のレジェンドを後押ししたのが、友道康夫調教師だ。師は海外を含むG1で通算15勝、先週の開催を終えた段階で全国リーディングトレーナー3位。今回の朝日杯FS以外にも、ダービー2勝をはじめ、多くのG1馬を世に送り出してきた。名実ともに関西を代表するトレーナーの1人である。
そして友道厩舎の躍進の原動力となっているのが、川田将雅騎手だ。トップジョッキーの一人として、近年の活躍も目立つ実力派でもある同騎手への騎乗依頼は、ここ1、2年で急激に増えている。
2019年には1年で7回だけの騎乗依頼だったが、2020年には22回、2021年には騎手の中で一番多い37回に。重賞も2人のコンビで今年2勝を挙げた。今月12日に行われた香港国際競走でラヴズオンリーユーのラストランを勝利で飾った川田騎手だが、残念ながら、14日間の自宅隔離が求められている。
そこで鬼の居ぬ間にと言わんばかりに、存在感を放っているのがM.デムーロ騎手だ。
12日の阪神JF(G1)はサークルオブライフ、18日のターコイズS(G3)でもミスニューヨークを勝利に導き、2週連続の重賞勝利という好結果を残した。
そんな絶好調のデムーロ騎手だが、過去2016年には騎手の中で友道厩舎から1番多い29回の騎乗依頼をもらうなど、2人のコンビでG1・ 2勝を含む重賞4勝。M.デムーロ騎手の通算勝利数を見ても、厩舎別で友道厩舎の馬での勝利が39勝と3番目に多く、かつては強い信頼関係を築いていた。
しかし、M.デムーロ騎手が、2019年天皇賞春(G1)に友道厩舎のエタリオウに騎乗した際、その騎乗内容に友道師が苦言を呈すなど、それまで良好だった両者の関係の風向きが変わり始めた。
特に印象的なのが、M.デムーロ騎手とのコンビで朝日杯FS(G1)、NHKマイル(G1)を制したアドマイヤマーズが乗り替わるなど、騎乗依頼が減り続けた結果、今年はここまで騎乗依頼数はゼロ。それまで蜜月関係にあったコンビも、今となっては実質絶縁のような状況といえる。
そんなM.デムーロ騎手とは対照的に川田騎手への騎乗依頼は年々増加。それに比例するかのように、年間の勝利数を増やした川田騎手と、減っていったM.デムーロ騎手の明暗が浮き彫りとなっているかもしれない。
25日の阪神C(G2)ではラウダシオン、26日の有馬記念(G1)ではステラヴェローチェとのコンビ参戦を予定しているM.デムーロ騎手。華々しい活躍を見せたかつての姿を取り戻すためにも、再び友道厩舎からの信頼を得ることが、名手の復活に欠かせないかもしれない。
(文=長尾りょう)
<著者プロフィール>
はじめての競馬、ジャパンCで5番人気シュヴァルグランの単勝を当て、競馬にハマる。オルフェーヴルのように強いが、気性が荒く、成績にムラのある馬が大好き。今までで1番忘れられない馬券は、2018年の有馬記念ブラストワンピースの単勝。