元JRA細江純子氏、有馬記念(G1)キセキに酷評の嵐!? 前走ジャパンCは見せ場十分も「良い所ゼロ」のバッサリ……
この秋G1のトレンドといえば、「有終の美」ではないだろうか。
ここ約1か月、マイルCS(G1)のグランアレグリアを皮切りに、ジャパンC(G1)のコントレイル、香港C(G1)のラヴズオンリーユーと歴史に名を刻んだ名馬たちが、次々とラストランを飾り、自身の功績へ最後にもう1つビッグタイトルを上積みしている。
そんな“競馬界の流れ”がある中で注目を集めているのは、やはり今週の有馬記念(G1)がラストランとなるクロノジェネシスだろう。勝てば前人未到のグランプリ4連覇、キャリアの集大成として「伝説」を残す舞台は整ったといえる。
一方で、忘れてはならないのが、同じく今回がラストランとなるキセキ(牡7歳、栗東・辻野泰之厩舎)の存在だ。
その個性的な走りから一際ファンの多い古豪も今年で7歳、ついにターフを去ることになった。2017年の菊花賞馬として将来を嘱望されたものの、そこから24連敗。あの手この手と尽くすうちに、厩舎も角居勝彦調教師から愛弟子の辻野泰之調教師へ引き継がれた。
しかし、輝きは今なお失われてはいない。今秋は京都大賞典(G2)で3着と健在ぶりを発揮すると、前走のジャパンCでは道中から早め先頭に躍り出る積極策。結果は10着だったが、有終の美を飾ったコントレイルに勝るとも劣らない存在感でファンを沸かせた。
そして迎えた引退レース。競馬場で、そしてテレビの向こう側で最後の雄姿を一目見ようとするファンはもちろん、「キセキの単勝だけは買う」「最後にキセキ(奇跡)を見せてくれ」といった熱い声援も。勝つまでは難しいかもしれないが、レース展開のカギを握る1頭であることは間違いないだろう。
だが、そんな千両役者には残酷な未来が待っているのかもしれない。
「少し歳をとったのかな? という体に映ります」と手厳しいジャッジを下したのは、元JRA騎手でホース・コラボレーターの細江純子氏だ。
『netkeiba.com』の『プロが指南するパドック診断』に登場した細江氏は、有馬記念を控えたキセキに対して「全体的にこじんまりとした体になり、いい頃の時のような前軸でしっかりと大地を捉えた立ち方にも映りません」とバッサリ……。「体重も減ったのかな? と思えます」と酷評している。
「日曜の競馬中継『みんなのKEIBA』(フジテレビ系)のパドック診断でもお馴染みの細江さんですが、キセキには“良い所ゼロ”の随分手厳しいコメントが並んでいますね。
22日に栗東のCウッドで軽めの最終追い切りが行われましたが、動きは悪くなかったですよ。気性面に課題のある馬ですがラストを11.6秒で走れたように、折り合いのついたメリハリのある走りもできていました。
記事は最終追い切りの前に掲載されたものですし、またレース当日の番組内で、細江さんがキセキのパドック診断を行う機会があると思います。少しでも評価が上がればいいんですが……」(競馬記者)
『みんなのKEIBA』内でこれまで数々の穴馬をピックアップするなど、細江氏の相馬眼は多くの競馬ファンが評価している。
前述した『プロが指南するパドック診断』でも、ウインキートスには「バランスのとれた良い立ち姿勢」、メロディーレーンに「過去最高のデキ?」、アサマノイタズラにも「メリハリのあるボディー」と伏兵陣にも「良い」と感じたら好評価を与えているだけに、キセキの酷評は気になるところだ。
実は、昨年の有馬記念の『プロが指南するパドック診断』では「個人的に今回はゲートの遅れの心配が増すような気がしています」と、ここ2走スタートを決めていたキセキの出遅れを予告し、見事“的中”させている細江氏。
果たして、キセキは最後に細江氏の予想を超えられるだろうか……細江氏だけでなく、誰もが驚くような「奇跡」の大番狂わせを期待したい。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。