JRA川田将雅「鬼タックル」でコマンドライン戦意喪失!? ホープフルS(G1)C.ルメール「リズムよく走れなかった」
中山競馬場で28日に行われたホープフルS(G1)は、横山武史騎手の2番人気キラーアビリティが優勝。2日前の有馬記念(G1)に続いてG1を連勝し、ファンの期待に応えた。
年末にG1を連勝するという離れ業を披露した若武者に対し、1番人気に推されたコマンドライン(牡2歳、美浦・国枝栄厩舎)に騎乗したC.ルメール騎手だったが、12着に敗れる不完全燃焼に終わった。
「ゲート内でチャカチャカしてスタートが悪かったです」
15頭で争われた芝2000m戦。4枠6番のコマンドラインは、ゲート内で落ち着かない様子を見せていたように不穏な雰囲気。そして、ゲートが開いた瞬間に立ち上がってしまい、スタートから大きく遅れてしまう。
二の脚の速さですぐに馬群に取り付いたが、位置は後方。3、4コーナーの中間にかけて外からスパートを開始したが、直線で前走のような鋭い差し脚は見られずじまいだった。
本馬はメンバー中唯一の重賞勝ち実績のある馬とはいえ、デビューから連勝していたのは東京芝1600mの舞台。初めての2000mや中山競馬場の環境に戸惑った可能性もある。
ただ、それ以上に厳しかったのは周りからのプレッシャーかもしれない。一部で早くも来年のダービー馬候補に推す声もあった1番人気ということもあり、他の騎手から厳しいマークを受けていた。
「出遅れてしまったコマンドラインですが、1コーナーに差し掛かる際、川田将雅騎手のフィデルと何度も接触しています。外枠だったフィデルが、内へと切り込んでいき、外から蓋をされるのを嫌ったルメール騎手も負けじと押し返そうとしたため、2頭が激しく接触しているシーンがパトロール映像にもしっかり残っていました。
ルメール騎手が敗因として『リズム良く走れなかった』と、レース後に振り返っていましたから、少なからず影響があったように思います。また、マイルの経験こそあれ、連勝したレースの勝ちタイムは平凡でした。こちらもG1の厳しい流れに対応できなかった原因として考えられると思います」(競馬記者)
今回は1000m通過が1分0秒1。前回より2ハロン延長したにもかかわらず、道中の流れはコマンドラインがこれまで経験していた流れより速い。これに加えて距離延長なのだから苦戦は免れなかったか。
ルメール騎手もレース後に「息の入りが悪くて3、4コーナーでペースアップしたときに対応できませんでした」と、語っているだけに、距離が長かった可能性も十分にあるだろう。
また、コマンドラインがホープフルSを使う関係で、もう1頭のお手馬ジオグリフが、中距離を連勝しながら、マイルの朝日杯FS(G1)に使われたという噂があったが、そのジオグリフも朝日杯FSで5着と結果を残せなかった。
この噂が真実ならば、2頭は残念ながらレース選択を誤ったといえるのかもしれない。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……