JRA「3億円ホース」への期待はコマンドライン以上!? 牡馬クラシック無冠の名門が悲願の「ダービー制覇」に価値ある一勝

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 5日、東京競馬場で行われた5Rの3歳未勝利は、C.ルメール騎手の1番人気ダノンギャラクシー(牡3、美浦・国枝栄厩舎)が、単勝1.7倍の断然人気に応えて勝利した。

 15頭立ての芝2400mで行われたレース。7枠12番からのスタートを無難にこなし、道中は中団よりやや後ろの位置で馬群の中で折り合ったが、1000m通過1分3秒8のスローペースと、先行馬に有利な流れ。

 しかし、4コーナーで鞍上のルメール騎手が徐々に追い出しを開始すると、最後の直線ではゴチャついていた内目の馬たちを、外から捻じ伏せる様にまとめて差し切った。

 勝ち時計2分29秒8は決して好タイムとはいえないが、これはスローペースの影響。3カ月ぶりの実戦、プラス18キロの馬体、距離延長など、課題がある中で価値ある一勝をもぎ取ったといっていいだろう。

 レース後、ルメール騎手は「2400mはちょうど良かったです。去年から大人になりました。手応えも良かったです。まだまだ良くなれると思いますし、上のクラスでもやれるでしょう」とポテンシャルを高く評価した。

 ダノンギャラクシーは、19年のセレクトセールでおよそ3億円の値が付いた高額馬。血統的な面でも、全姉に13年のジャパンC(G1)で2着したデニムアンドルビーがいる良血馬という事もあり、デビュー前から大きな注目を集めていた。

 期待を背負った新馬戦では、1番人気に支持されたものの、前の馬を捕まえられずに2着に敗れた。ルメール騎手はこのとき「まだ子供ですね。あまりハミをとらず、直線もフラフラしていて最後だけ良い脚を使いました。スタートで他の馬を気にしていましたし、シャイなところがあります」とやや辛口だったが、最後に追い込んできた脚は、素質を感じるものがあった。

 同馬を管理する国枝調教師は、アパパネやアーモンドアイで牝馬三冠を達成するなど、牝馬クラシックにおいては無類の勝負強さを誇る名トレーナーだが、調教生活34年目を迎えた今もなお、牡馬クラシックでは無冠が続いている。昨年は、牝馬サトノレイナスで果敢にも日本ダービー(G1)に挑戦したが、悲願達成とはならなかった。

 2歳時からダービー候補と呼び声が高かった同厩舎のコマンドラインは、昨年暮れのホープフルS(G1)でまさかの12着に大敗。スタートで痛恨の出遅れ、最後まで見せ場も作れなかった完敗に、国枝師も肩を落としたに違いない。

 しかし、今回のダノンギャラクシーの勝利は、国枝師の悲願のダービー制覇へ向けて、望みを繋ぐ一勝となった。ダービーと同舞台の東京芝2400mで結果を残せたのは、好材料である。

 今年の4月で67歳を迎える国枝師にとって、定年までのクラシック挑戦はあと4回と残り僅か。牝馬クラシック路線では、昨年の阪神JF(G1)を制したサークルオブライフという大本命を抱えているが、牡馬で主役級は不在のため、ダノンギャラクシーにかかる期待が大きくなるのも当然だ。

 1月の京成杯(G3)で2着した同厩舎のロジハービンとともに、クラシック候補の新たな一頭として、今後の動向に注目したい。

(文=ハイキック熊田)

<著者プロフィール>
ウオッカ全盛期に競馬と出会い、そこからドハマり。10年かけて休日を利用して中央競馬の全ての競馬場を旅打ち達成。馬券は穴馬からの単勝・馬連で勝負。日々データ分析や情報収集を行う「馬券研究」三昧。女性扱いはからっきし下手だが、牝馬限定戦は得意?

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