JRA京都記念「13着大敗」レッドジェネシスの2番人気に被害者続々!? 川田将雅ダノンスコーピオンとの「決定的な違い」とは

国分恭介騎手

 13日、阪神競馬場で開催された京都記念(G2)は、13頭中12番人気のアフリカンゴールドが逃げ切る大波乱。2着に8番人気タガノディアマンテ、3着に6番人気サンレイポケットが入線し、三連単は67万9100円と荒れに荒れた。

「もっと勝たないといけないですが、こういういい馬に乗せていただけて幸せです」

 そう語った国分恭介騎手は、これが嬉しい2022年初勝利。「他の馬にペースを握られるより、自分で握った方がいいメンバー」と思い切った逃げが功を奏した。7歳馬だが、セン馬ということもあって「馬はまだ若い」と力強いコメント。本格化はまだこれからで、春の大阪杯(G1)へ楽しみな馬が現れた。

 その一方、2番人気に推されながら最下位という屈辱的な結果に終わったのが、レッドジェネシス(牡4歳、栗東・友道康夫厩舎)だ。

 これからの競馬界の中心となるべきエフフォーリア世代の有力馬の一角として、あるまじき敗戦だった。舞台となった芝2200mは昨年、京都新聞杯(G2)で重賞初制覇を飾り、神戸新聞杯(G2)でもダービー馬シャフリヤールらを抑え、ステラヴェローチェに食い下がって2着に好走した絶好の距離。さらには、雨の影響で稍重開催となったことも、重巧者のこの馬の追い風になっていたに違いない。

藤岡康太騎手

 しかし、レースではスタート直後から最後方の競馬。向正面で一時は2番手集団まで進出したが、4コーナーを待たずして早々と失速……。最後の直線では、鞍上・藤岡康太騎手の右ムチも空しく最後方のままゴールした。

 レース後、2番人気馬の衝撃的な最下位という結果に、ネット上の競馬ファンからSNSや掲示板などで「何があったんだ?」「この負け方はあり得ない」「まったく想像できなかった」といった声が続々……。

 中には「マジメに乗ってくれ」「二度と買わない」などの厳しい声もあった。

「うーん、どうしたんでしょうか。ゲートで出遅れたわけでもないですが、今日はスタート直後から、いつも以上にダッシュがつきませんでしたね。藤岡康騎手もポジションを取りに促して行ったんですが反応がなく、仕方なく最後方から(の競馬になった)という感じでした。

向正面で外からロスなく上がっていった際は、この馬本来の力を見せてくれるかと期待したのですが、早々に手応えが悪くなってズルズルと後退。最後の直線を迎えた時には、再び最後方まで脱落しており、万事休すといった感じでした。今日はまったく勝負になりませんでしたね。こんな馬じゃないハズなんですが……」(競馬記者)

 距離が長すぎて大敗したとはいえ、昨年の菊花賞(G1)では1番人気に支持された逸材。主戦の川田将雅騎手が、共同通信杯(G3)のダノンスコーピオンに騎乗する関係もあって、神戸新聞杯でも騎乗した藤岡康騎手へ再び代打騎乗が巡ってきたが、今回の敗戦をジョッキーだけの責任にするのは、あまりに酷だろう。

 エフフォーリア世代の実力馬による不可解な敗戦と述べざるを得ないが、別の記者は「この結果も仕方がない」という。

「レース後に、藤岡康騎手は『3コーナーで突っ張る感じになりました』と話すに留めていましたが、今回の敗因を1つ挙げるなら『状態面』ということに尽きます。1月に帰厩してから栗東のCWを中心に乗り込まれてきたレッドジェネシスですが、良化はかなりスローといった印象でした。

最終追い切りではまだ出走していない3歳馬と併せたのですが、何とか併入に持ち込んだといった感じ。正直、まさか2番人気に推されるとは思っていませんでした。あくまで個人的な意見ですが、もう少しレッドジェネシスの状態について『客観的な意見や報道があってもよかったのでは』とは思います」(別の記者)

 この記者は先日にも話を伺った人物であり、詳細は本サイトの『JRA京都記念(G2)レッドジェネシス「順調」報道を一刀両断!? 「あまり高い評価はできない」3歳新馬と“互角”に留まった実力馬のジャッジに温度差』でご確認いただきたい。

 実際に、この日は東西で“明暗”が分かれた。

ダノンスコーピオン 撮影:Ruriko.I

 東の共同通信杯では、戦前にジオグリフとの「2強」と報じられていたダノンスコーピオンが、まさかの4番人気に。

 前走の朝日杯フューチュリティS(G1)で前者が5着、後者が3着。さらには萩S(L)で負かしたキラーアビリティが、後にホープフルS(G1)を勝利した事実もあって、1番人気さえ想定されていたはずだ。だが結果は、7着惨敗だった。

 しかし、一部の競馬ファンが冷静な判断を下せたのは、最終追い切りを終えた川田将雅騎手が「いい頃の動きがまだできていない」「間に合ってない」とコメントしたことが報じられたからではないだろうか。

「マスコミは取材側と受ける側の信頼関係で成り立っていますから、なるべくネガティブな情報は発信したくないんですよ。例えば、昨年のエリザベス女王杯(G1)の横山武史騎手や、今回のダノンスコーピオンの川田騎手ように『不調』をはっきり口にしてもらえれば、まだ書きやすい(不調と報じやすい)んですが、上位人気が予想される実績馬の場合は、基本的には『いい状態』と書く暗黙の了解のようなものがあります」(同)

 そういったマスコミの事情が度々大波乱を生んでしまうのが、競馬の歴史でもある。この日のレッドジェネシスとダノンスコーピオンは、我々競馬ファンにとってもいい教訓になりそうだ。

(文=大村克之)

<著者プロフィール>
 稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。

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