JRAフェブラリーS(G1)ソダシは「本当」に復活したといえるのか? 惨敗続きにストップも……、元JRA安藤勝己氏が指摘した“好走”を喜べない「決定的」理由
20日、東京競馬場では今年最初のG1・フェブラリーSが開催。フルゲート16頭立ての混戦を断ったのは、今回が初コンビとなった福永祐一騎手とカフェファラオだった。
道中で好位につけると、直線早めに抜け出す横綱相撲。ゴールでは、2着テイエムサウスダンに2馬身半の差をつける圧勝で、昨年に続く連覇を飾った。東京ダートのマイルは、これでデビューから4戦無敗と、無類の東京巧者ぶりも光った。
その一方、来年に3連覇の懸かるカフェファラオに対し、注目度では勝ち馬を大きく上回っていたのが、白毛のアイドル・ソダシ(牝4、栗東・須貝尚介厩舎)の出走である。
デビューから5連勝で桜花賞馬に輝いた天才少女も、大本命に推された昨秋の秋華賞(G1)で10着。新境地を求めてダート初挑戦を試みたチャンピオンズC(G1)でも12着に敗れ、近走はリズムを崩していた。
失地回復を狙ったフェブラリーSの舞台は、得意とするマイルの距離。3着に入ったことは、ダートが得意な馬の揃う母系のソダシにとって、陣営が期待した通りの適性を見せたといえるかもしれない。
しかし、見方によっては好走したからこそ、物足りなさが残ったとも言えなくはないだろうか。
「近走の連敗は、おそらく気性面の難しさを露呈した敗戦と思われますが、今回の場合は力負けしてしまったように映ります。レース内容も2着テイエムサウスダンの直後と絶好のポジションで、勝ち馬から3馬身差の完敗を喫しました。
展開、位置取りもほぼ完璧だったにもかかわらず完敗。ダートをこなせなくはないが、G1級の走りではなかったという気もします。重のダートで砂を被ることもなく、芝馬に有利な高速時計の決着と、ソダシに向く条件は揃っていたはずですから……」(競馬記者)
勿論、見せ場なく大敗した近走から前進を見せたことは確かだ。だが、日米G1・3勝馬ラヴズオンリーユーを札幌記念(G2)で撃破したパフォーマンスを思えば程遠い。追い切りで好時計をマークし、体調にも問題がなかったとしたら、ダートより芝でこその印象を拭えない。
そういう意味では、あまりにも「普通」に走って「普通」に負けてしまった今回。本来持っているはずだったポテンシャルの高さを思えば、復調途上なのか、それともダートではこれが精一杯なのかという疑惑の答えは先延ばしとなる。
これに対し、元JRA騎手の安藤勝己氏は、公式Twitterで「直線に入って手応えなくなったように見えるのは走りに集中してないからなんだよね」と、自身の見解を披露。
「テイエムサウスダンに外から交わされた時に気持ちが途切れたのかもしれない。あれでバテとるならソリストサンダーが後ろから来たタイミングでもうひと伸びできないよ」と続けたように、完全復活にはまだ遠いことを仄めかした。
“追試”をするにしても中央のダートG1は、冬のチャンピオンズCまでない。次走はダートならかしわ記念(G1)、芝ならヴィクトリアマイル(G1)が視野に入ると考えられるが、白毛の天才少女は今度こそ本領を発揮できるだろうか。
主戦を任されている吉田隼人騎手は「半信半疑でしたが、ダートで結果が出て、ホッとしましたし、やれることが分かりました」と、ひとまず安堵。管理する須貝調教師も「芝、ダートと選択肢が増えて今後が楽しみです」と振り返った。
少なくとも道中で、これまでのように諦めることなく走れたのは好材料。陣営の試行錯誤はまだまだ続きそうだ。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。