JRA カラテと菅原明良に最悪「コンビ解消」の可能性も……、主戦とお手馬が東西に分かれる「異例の移籍」を決断したオーナーの思惑とは
先月27日に中山競馬場で行われた中山記念(G2)で、菅原明良騎手のカラテ(牡6歳、美浦・高橋祥泰厩舎)は2着となった。この日をもって定年引退となる高橋祥調教師に勝利をプレゼントする事は出来なかったが、実績の乏しい1800m戦で好走した事は今後に向けての収穫だった。
開催終了後には、解散する厩舎の管理馬の転厩先が発表されたが、カラテの転厩先は意外にも美浦ではなく、栗東の辻野泰之厩舎だった。
解散や、諸事情による転厩は、同地区の厩舎間で行われることが一般的だ。実際、高橋祥厩舎の管理馬の多くは西田雄一郎厩舎など美浦所属の厩舎に移籍している。その中でカラテのみが栗東へ移籍した点は目立つ。
何故、慣れ親しんだ美浦ではなく、あえて関西の辻野厩舎へ移るのか。
■カラテが辻野厩舎へ転厩する理由として考えられること
「元々、カラテは爪に不安を抱えています。過去にはそれが原因で出走を取りやめた事や、昨年出走した安田記念(G1)も『評価は20点でした』とオーナーの小田切光氏が自身のTwitterでコメントするなど、爪の持病に悩まされてきました。今回、カラテの転厩先となる辻野厩舎の出世頭であるロータスランドも元々爪に不安を抱えていました。それが、同厩舎での熱心なケアにより状態が上向き、素質を開花させた実績があるのです」
また、小田切オーナーは、栗東では主に音無秀孝厩舎に所有馬を預託していますが、音無師は定年まであと3年と近づきつつあります。その為、今後の栗東での拠点として、新進気鋭の辻野厩舎とも関係を作っていこうと考えているのかもしれません」(競馬記者)
おそらくこういった背景も今回の栗東への転厩に繋がったと考えられるのだが、過去の例をみると、重賞クラスの馬が東西を跨いでの転厩はあまり多くない。近年ではステイヤーズS(G2)3連覇のアルバート、ダートG1・3勝のケイティブレイブなどが東西を跨いで転厩しているとはいえ、レアケースといえるだろう。
競走馬は環境の変化に敏感という。東西トレセン自体が変わるという事は管理する人や場所だけでなく、雰囲気、水や食料など多くの違いが馬に様々な影響を及ぼすのかもしれない。
カラテの今後としては安田記念の前哨戦で、阪神競馬場で行われるマイラーズC(G2)などが候補になりそうだ。
しかし、主戦の菅原明騎手を陣営が継続起用するのかどうかも注目される。
関東所属の菅原明騎手は、阪神での騎乗経験が乏しいのも気がかりだ。それ以外でも、関西が主戦場になるとすると、オニャンコポンなどのお手馬との兼ね合いや、阪神、京都で乗り慣れた関西所属の騎手への主戦変更の可能性も出てくる。
カラテの活躍と共に、競馬ファンに認知されてきた菅原明騎手だけに、継続騎乗を願うファンも多い事だろう。
異例の栗東移籍を経たカラテと主戦の今後に注目していきたい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。