JRA大阪杯(G1)エフフォーリアVSジャックドールは「スペシャルウィークVSグラスワンダー」の23年ぶり延長戦!? 春のグランプリには「キングヘイロー」を持つあの大物も参戦か
誰もが「確信」した瞬間だったかもしれない。
現役最強馬を止めるのは「この馬だ」と――。
13日、中京競馬場で行われた金鯱賞(G2、芝2000m)は、1番人気のジャックドール(牡4歳、栗東・藤岡健一厩舎)が完勝。従来を1.1秒も更新する“スーパー”レコードで5連勝を飾った。
キャリア初の重賞挑戦も、レイパパレやアカイイトといったG1馬の存在も関係なかった。好スタートから、あっさりとハナに立って自分の形に持ち込むと、あとは独壇場。ライバルたちに影をも踏ませぬ逃走劇で、単勝2.0倍の圧倒的人気に応えた。
「能力の高い馬だと思っていましたが、想像以上の強さでした。レース後、主戦の藤岡佑介騎手も『ターフビジョンを見て「相当強いな」と思いました』と驚いていましたね。
前半の1000m通過59.3秒は、前走の白富士S(L)が59.4秒だったように、この馬にとってはマイペース。前走と同じく開幕週の2000mという共通項もあって、全体のラップもほぼ同じ数字が並んでいます。
道中から11秒台を連発して、さすがに最後の200mは12.3秒とやや止まり気味でしたが、追い上げを見せていたレイパパレやアカイイトが止まった分、逆に着差が広がりました。今回はメンバーが一気に強くなりましたが、問題にしませんでしたね。はっきり言ってG1級、非常に強い内容だったと思います」(競馬記者)
この結果に驚いたのは、競馬ファンも同様だ。レース直後に「ジャックドール」がたちまちトレンド入り。すぐに1位になると、同時に「エフフォーリア」というワードも上位に名を連ねた。
「順調にいけば、ジャックドールは次走の大阪杯(G1)で、昨年の年度代表馬エフフォーリアと初めて対峙することになります。ファンの人たちも同世代2頭の初対決へ期待が高まっているのでしょう。
昨年は皐月賞(G1)、天皇賞・秋(G1)、有馬記念(G1)を勝つなど、エフフォーリアは文句なしの現役最強馬。昨年に多くの有力馬が引退したこともあって、今年はこの馬の時代になると思われていましたが、思わぬ強敵が出現した印象です。
ジャックドールはこれでデビューから9戦連続の2000m出走。まさに大阪杯はキャリア最初の集大成といえるレースになると思います。今から非常に楽しみです」(同)
エフフォーリアVSジャックドールの対決に大きな反応を見せているのが、大ヒット競馬アプリ『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)のプレイヤーたちだという。
「エフフォーリアの血統には『ウマ娘』で主役を務めているスペシャルウィークの血が入っていて、ジャックドールにはそのライバルだったグラスワンダーの血が入っています。この2頭の子孫の争いは、当時を知る競馬ファンからすれば“エモい”対決になりますね」(別の記者)
グラスワンダーとスペシャルウィークといえば、同世代のライバルとして1990年代後半に名勝負を繰り広げた2頭だ。
初対決となった1999年の宝塚記念(G1)ではグラスワンダーに3馬身差を付けられたスペシャルウィークだったが、同年の有馬記念(G1)ではゴール後に武豊騎手がガッツポーズするほどの大激戦。しかし、ハナ差で激戦を制したのは、またも前者だった。
「(能力を)出し切れば、このぐらいは走れる馬だと思っていました。ラスト1ハロンも追っていて『すごい馬だ』と。あまり他の馬では感じたことがないストライドです」
あれから23年。金鯱賞を制した相棒を手放しで絶賛した藤岡佑騎手には、間違いなくG1制覇が視界に入っているはずだ。
仮にジャックドールがグラスワンダーで、エフフォーリアがスペシャルウィークとするなら、来週の阪神大賞典(G2)で大本命となるディープボンドは母父がキングヘイローだ。ちなみに99年の宝塚記念には、本馬も出走して8着に敗れている。
この3頭が激突するなら、6月の宝塚記念か。かつて「黄金世代」と呼ばれたグラスワンダー、スペシャルウィーク、キングヘイローの血を持った3頭の子孫が1999年以来、23年ぶりに激突する春のグランプリが今から楽しみだ。
(文=銀シャリ松岡)
<著者プロフィール>
天下一品と唐揚げ好きのこってりアラフォー世代。ジェニュインの皐月賞を見てから競馬にのめり込むという、ごく少数からの共感しか得られない地味な経歴を持つ。福山雅治と誕生日が同じというネタで、合コンで滑ったこと多数。良い物は良い、ダメなものはダメと切り込むGJに共感。好きな騎手は当然、松岡正海。