武豊の「有言実行」の重賞勝利に驚愕……「福島に乗りに行きます」”リップサービス”を現実に変えてしまう天才騎手は噓をつかない?
先日12日に行われた中山牝馬S(G3)だ。武豊が騎乗していたのは、名牝トゥザヴィクトリーの娘トーセンビクトリーだった。5番人気という評価だったが、前走はオープンのアンドロメダSで8着。約4か月の休み明けということもあって、鞍上が武豊でなければここまで高い評価を受けていたかは疑問だ。
ところがこの日の2レースで今月初勝利を上げて調子を戻していた武豊は、ここ2走逃げていた騎乗馬を好位で折り合わせ、最後の直線では絶妙のタイミングでスパートを開始。最後は1番人気のマジックタイムをクビ差だけ退け、先頭でゴールを駆け抜けた。トーセンビクトリーにとっては、これが重賞初勝利である。
レース後、優勝馬を管理する角居勝彦調教師は、春の大目標を5月のヴィクトリアマイル(G1)に掲げ、それまでに1戦挟むかを「豊さんと相談します」とコメントした。
そして、その挟む1戦の最有力候補と目されているのが福島牝馬Sである。そう報じた13日付の『東京スポーツ』の記事を見た際、筆者が「なんたること」と驚愕せざるを得なかったは述べるまでもないだろう。
無論、現段階でトーセンビクトリーが福島牝馬Sを使うことが正式に決まったわけではない。だが、いずれにせよ武豊は自らの腕で「福島行き」の”切符”を用意し、リップサービスを本当の「約束」に変えてしまったのだ。
『4月8日に開幕する春の福島競馬を楽しみにしている。(4月22日の)福島牝馬S(G3)には乗りに来ると約束します』
こんなことをサラリとやってのける男は、後にも先にも武豊しかいないのかもしれない。
(文=村上荒城)