JRA 週末「傘マーク」で高松宮記念(G1)は道悪が濃厚!? レシステンシアはじめ「恵みの雨」で浮上する馬と割引が必要な馬とは
今週末の27日、中京競馬場で今年2回目のG1となる高松宮記念が行われる。翌週以降には大阪杯(G1)、3歳クラシックも控えており、いよいよ春のG1シリーズが幕を開ける。
春G1の2戦目の大阪杯が「エフフォーリアVSジャックドール」の構図があるのに対して、昨年の覇者ダノンスマッシュ、そして昨秋のスプリンターズS(G1)を制したピクシーナイトの出走しない高松宮記念は絶対的な主役が不在な点が特徴として挙げられるだろう。
さらに、もう1つ特徴に挙げられるのが天候だ。中京競馬場がある東海地方の今週末の天気は、土日共に「傘マーク」がついており、降水確率も60~70%と比較的高い数字になっている。つまり、高松宮記念は3年連続重馬場での開催が濃厚だ。
今回は道悪馬場を味方につけそうな馬、反対にそういった馬場を苦手としていそうな有力馬をそれぞれピックアップしてみたい。
まずは道悪馬場で浮上が見込める馬だ。有力どころでは、『netkeiba.com』の単勝予想オッズで堂々の1番人気に支持されているレシステンシアは問題なさそうだ。
重馬場だった昨年の高松宮記念では勝ち馬とタイム差無しの2着に好走。道悪での好走歴はこれだけではなく、2年前の桜花賞(G1)でも雨が降りしきるタフな馬場のなか、番手から2着に粘り込んでいる。
G1でのレシステンシアは勝ち切れない印象が強いが、馬場が悪くなり他の有力馬が苦戦するようなことがあれば、阪神JF(G1)以来のG1勝ちも見えてくるだろう。
重馬場での好走歴がある有力馬で忘れてはならない馬がもう1頭。高松宮記念と同じコースで行われた前走のシルクロードS(G3)を制したメイケイエールだ。
2020年の小倉2歳S(G3)を降雨のなか、力強く直線で伸びて自身初めての重賞制覇を飾った。当時の馬場は開催最終週で、例え良馬場であってもタフな馬場だった。それゆえ、メイケイエールも高い道悪適性を秘めているだろう。
そして、忘れてはならないのが2年前の“幻の優勝馬”ダイアトニックだ。
ダイアトニックは2年前の高松宮記念に出走。重馬場で多くの馬が直線で伸びを欠くなか、内から鋭く伸びて先頭が目前に見えた矢先、今回も対戦予定のクリノガウディーから不利を受けて3着となった。
不利が無ければ勝っていた可能性もあっただけに悔やまれるレースだが、当時と似たような馬場になれば勝算も高くなる。前走は約1年8ヶ月ぶりの重賞制覇をするなど復調気配が漂うため、2年前の忘れ物を取り返すかもしれない。
次に、道悪馬場の適性に疑問符がつく馬はどの馬になるだろうか。
真っ先に名前が挙がると思われるのが、今回初めてのスプリント戦挑戦となるサリオスだ。
サリオスは重馬場で行われた昨年の大阪杯で5着に敗退している。当時の鞍上の松山弘平騎手が「馬場が悪くなっていて苦しくなりました」とレース後に振り返っていることから、歓迎とはならないはずだ。
また、道悪を経験したことのない馬も適性が未知数なため、走ってみないとわからない。その代表例がフランケル産駒のグレナディアガーズだ。
グレナディアガーズはデビュー以来、良馬場でしか走ったことがない。そのため、水分を多く含んだ馬場でも良馬場で見せるようなキレ味鋭い走りが再現できるか疑問が残る。
フランケル産駒はJRAにおいて良馬場で勝率12.6%に対して、重馬場では13.6%、不良馬場では14.3%と馬場が悪化すればするほど勝率が上昇。道悪が得意な産駒に思える。
一方、重賞に限定すると、馬場が悪化すればするほど成績は下降。産駒の重賞7勝はすべて良馬場だ。稍重では7戦して2着1回、3着1回となっている。重、不良馬場はサンプルが少ないながら、馬券には絡んでいない。
真の適性が試される上級条件で上記の成績であることを踏まえると、産駒は道悪が苦手な傾向にあることが考えられる。
重馬場だったレース後に必ずといっていいほど「良馬場なら」と敗れた馬の陣営が嘆くように、「道悪馬場の巧拙」は結果に直結する。果たして今週末の降雨がどの馬に「恵みの雨」となるのか、はたまた「厄介な雨」となるのか注目だ。
(文=坂井豊吉)
<著者プロフィール>
全ての公営ギャンブルを嗜むも競馬が1番好きな編集部所属ライター。競馬好きが転じて学生時代は郊外の乗馬クラブでアルバイト経験も。しかし、乗馬技術は一向に上がらず、お客さんの方が乗れてることもしばしば……