JRA大阪杯(G1)安藤勝己氏「負けるべくして負けた」ジャックドールをバッサリ! 裏目出た「10秒3」の強気、逃げに拘った藤岡佑介の功罪

ポタジェ

 3日、阪神競馬場で開催された大阪杯(G1)は、吉田隼人騎手の8番人気ポタジェが大金星となるG1初勝利を挙げた。2着にレイパパレ、3着にアリーヴォが入った3連単の払戻しは53万7590円。今春2つ目のG1開催は、3連単278万馬券の飛び出した高松宮記念(G1)に続き、またしても大波乱となった。

 戦前の下馬評では、単勝1.5倍の圧倒的な支持を受けた1番人気エフフォーリアと、単勝3.7倍に推された2番人気ジャックドールが、3番人気以下を離す二強を形成した。一騎打ちムードが濃厚だった今年の大阪杯だが、前者は9着、後者は5着とどちらも馬券圏内に食い込むことは出来なかった。

 後方から見せ場なく敗れた大本命エフフォーリアは、全くらしさが見られないままの凡走といっていい走り。この件については、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「心配になる、よくない負け方」と気になるコメントを出していた。

 また、ライバルと見られたジャックドールに関しては、中2週のテンションが気になったとしつつ、「いつものダッシュやなかったし、ペース的にも負けるべくして負けた」と振り返っている。

 エフフォーリアの場合、敗因が能力以前の可能性も考えられる見解だが、ジャックドールについては「負けるべくして負けた」とバッサリ。これには鞍上である藤岡佑介騎手の騎乗も無関係ではなさそうだ。

 良馬場の芝2000mで迎えた大阪杯だが、1000m通過の前後半は58秒8-59秒6で前半の方が速い前傾ラップ。最後の直線半ばでジャックドールが力尽きる原因となったことは、ほぼ間違いないだろう。

 ただ、直線入り口で4番手のポタジェ、同じく3番手レイパパレがワンツーフィニッシュを決めたことを考えれば、決して差し馬向きの展開だったとも言い切れない。

 では、なぜジャックドールだけ垂れてしまったのか。

藤岡佑介騎手

「スタートはいつもよりダッシュの利かない感じ。出していった分、いつもよりペースが速くなった。右トモ落鉄の影響もあったかもしれません」

 レース後、藤岡佑介騎手は敗戦をそう振り返ったが、ペースが速くなり過ぎた理由は、スタート直後の2ハロン目のラップにあったと思われる。

 前傾ラップを決定づけたのが2ハロン目に刻まれた「10秒3」という数字だ。10ハロン中の9ハロンで11秒台から12秒台のラップが続いた今年の大阪杯。2番目に速かったラップが11秒5だったことを考えると明らかに突出している。

 そして、このラップを刻んだのは勿論逃げ馬、すなわちジャックドールと藤岡佑騎手のコンビに他ならない。このタイミングでもう少しペースを緩めることが出来ていたなら、末脚を温存できていた可能性が高い。

「藤岡佑騎手の言葉通り、スタートでもたついたのは確かです。ただ、外からレイパパレとアフリカンゴールドが迫って来た際、譲らない決断をしたのも藤岡佑騎手でした。おそらく連勝中のスタイルを崩したくなかったのでしょう。

ですが、陣営が控えても問題ないとアピールしていただけに少し意外でした。内で包まれてしまうのを避けたかったかもしれませんが、結果的に裏目に出てしまったようにも感じます」(競馬記者)

 ここまで5連勝中だったジャックドールだが、すべて前半が後半より遅い展開での勝利でもある。強敵を相手にした初G1でいつもと違うペースに粘りを欠いたのも、やむを得なかったか。

 とはいえ、落鉄もあった中で見せ場十分の走りを披露しての0秒5差5着なら、収穫は十分にあったともいえる。敗れはしたものの、本馬がG1級のポテンシャルの持ち主であることは証明できたレースではあった。

 今後、宝塚記念(G1)や天皇賞・秋(G1)も視野に入ってくるだろうが、今回の教訓を生かせれば、G1馬となるチャンスはまだまだありそうだ。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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