「藤田菜七子フィーバー」から1年。若手騎手との競争に敗れブームが沈静化した今、JRA唯一の女性騎手が踏み出した「未来への一歩」とは
JRA(日本中央競馬会)にとっては16年ぶりの女性騎手誕生ということもあって、競馬界のみならず、一般的なニュースやメディアも巻き込んでの社会現象となった昨年3月の「藤田菜七子フィーバー」。あれから約1年が経過した。
今月初めから初の後輩騎手もデビューし、ついにル-キーを卒業した藤田菜七子騎手の周囲は今、”あの頃”に比べれば、ずいぶんと静かになった。
競馬サークル内外から大きな注目を浴び続けた昨年は、結局JRA・6勝という成績に終わった。45勝を上げ、最多勝利新人騎手を獲得した木幡巧也騎手を始めとした多くの同期にも水をあけられる格好となった。
勝てる騎手には「勝てる馬」が集まり、勝てない騎手には「勝てない馬」が集まるのが競馬の世界。競馬という競技の主役があくまで「馬」である以上、一度、勝てないという印象を持たれた騎手が這い上がるのは、他の競技よりも遥かに難しいといわれている。
自分だけではどうにもならない部分が、あまりに大きいからだ。
そういった意味で、3月半ばで未だ1勝という今年の藤田菜七子騎手の成績は、競争に敗れゆっくりと衰退していく他の騎手と何ら変わりのない姿と言える。「藤田菜七子フィーバー」という”魔法”が切れ、厳しい現実だけが残った今の藤田騎手を厳しい目で見るファンも増えている。
「勝てないから仕方がない」「もう厳しいのではないか」そういった声は、率直に述べて概ね正しい。