JRA戸崎圭太「ドン詰まり」でオークス出走の夢散る!フローラS(G2)ルージュエヴァイユ「右往左往」の不完全燃焼
24日、東京競馬場ではフローラS(G2)が行われ、5番人気エリカヴィータが優勝。3/4馬身差の2着に逃げ粘った4番人気パーソナルハイとともにオークス(G1)への切符を手にした。
さらにハナ差の3着には、道中2番手を進んだ9番人気のシンシアウィッシュが入り、三連単は25万8710円の高配当。単勝オッズ5倍以下の1~3番人気がそろって馬券圏外に消えた波乱の結果にうなだれたファンも多かったのではないだろうか。
人気を裏切る形となった“3強”の結果を振り返ると、1番人気に推されたルージュスティリアはまさかの最下位。好位を進んだ2番人気ラスールは直線伸びきれず、6着に終わった。そんななか、“3強”のなかで最も強い競馬をしたのは、3番人気に支持されたルージュエヴァイユ(牝3歳、美浦・黒岩陽一厩舎)だった。
デビューから2連勝を飾り、出走した15頭中唯一の無敗馬だったルージュエヴァイユ。初戦から手綱を取る戸崎圭太騎手とのコンビで無傷3連勝での戴冠を狙った。
「初めての東京コースを不安視する声もありましたが、黒岩調教師は『直線が長いコースに替わるのはプラス』と明言していました。デビューから2戦とも後方からの競馬で差し切っていますし、広い東京ならその末脚がさらに生きると考えたファンも少なくなかったはずです。
注目されたスタートは五分で出たものの、行き脚がつかず。最初のコーナーまでに位置取りを最後方集団まで下げてしまいました。それでも道中は内ラチ沿いを走れたのは良かったと思います。上位入線馬はそろって内ラチ沿いを通った馬でしたからね。ところが、最後の直線で戸崎騎手が取った進路が勝負を分けました」(競馬誌ライター)
インで脚を溜めたルージュエヴァイユの戸崎騎手だったが、直線で前が詰まるのを嫌ったのか、スッと5~6頭分外に持ち出した。そしてこれが結果的に裏目に出てしまう。
ルージュエヴァイユ「右往左往」の不完全燃焼
「確かに内を突くより外を通った方が不利を受ける確率は下がります。ところがルージュエヴァイユは、直線で2~3回前が壁になってしまいました。最初は残り450mあたりで加速しようとしたところで、斜め前にいたヴァンルーラーに進路をふさがれ減速。すぐにヴァンルーラーの内を突こうとしましたが、前にいたラスールが壁となり、再び外に進路を切り替えるロスがありました。
その後もなかなか前が開かず右往左往した結果、トップギアに入ったのは残り200mのハロン棒を通過したあたりでしたね」(同)
残り200mを切ってからはルージュエヴァイユもグングン加速。あっという間に先行集団との差を詰めたが、5着に入るのが精いっぱい。結局、オークスの権利獲りは失敗に終わった
レースを見たファンからは「行く先々で前が壁」「この負け方は悔いが残るな」など、戸崎騎手の手綱さばきに対する不満の声も多々上がった。
「レース前にフジテレビの『みんなのKEIBA』内で、井崎脩五郎さんが『(ルージュエヴァイユは)最内だし、包まれるのを嫌って(前に)行かせるんじゃないかな」というニュアンスの発言をしていましたが、まさにそうしておけば、という馬場状態と展開になりましたね。
直線も内に進路を取った馬が伸びていましたし……。結果論ですが、外に出すなら出すでもう少しスムーズな競馬をしたかったですね」(同)
敗れはしたものの、ルージュエヴァイユは直線で手間取りながらも、メンバー最速の33秒6という上がり3ハロン時計を叩き出した。「前残りの馬場で追い込んで行っての着順。力があるところは見せてくれた」とは、戸崎騎手がレース後に語った言葉。不完全燃焼にも見えるレース内容に、このコメントをうまく消化できないファンも少なくなかったはずだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。