元JRA安藤勝己氏「迷える」サリオス陣営と終わらぬバトル!? 「ずっと言ってきたとおり」と真逆の安田記念参戦に「救世主」が強力バックアップ
6月5日に東京競馬場で行われる安田記念(G1)への出走を予定しているサリオス(牡5歳、美浦・堀宣行厩舎)の鞍上が、短期免許で来日するD.レーン騎手になる見込みだ。前走の高松宮記念(G1)では15着と大敗しているだけに、名手を背に巻き返しを図る。
ただ同馬をデビュー当初から高く評価している元JRA騎手の安藤勝己氏は、かねてより距離適性に関して、2000m以上で活躍した半姉のサラキアと同様に、中長距離が適距離という見解を貫いてきた。
真逆の安田記念参戦に「救世主」が強力バックアップ
そんな安藤氏の思惑とは裏腹に、前々走の香港マイル(G1)から更なる距離短縮で臨んだ前走の高松宮記念後も、自身のTwitterでは「サリオスはずっと言ってきたとおり」と、突き放すような短文コメントを残すのみ。自身の見解とは対極的な使い方をした陣営に対して不満な様子が見て取れた。
今回の安田記念は高松宮記念からは2ハロンの延長となるが、8着と敗れている昨年も安藤氏は「サリオスはマイルじゃ忙しい」とコメントしていた経緯もある。
一方で、管理する堀調教師はインタビューで高松宮記念への参戦理由を聞かれた際に、「デビュー当時から短距離適性を見込んでいた」と安藤氏とは真逆のコメントをしており、サリオスが半姉のサラキアが開花した時と同じ5歳となっても、初志貫徹する構えにも感じられる。
それでも、コントレイルとしのぎを削った3歳の春以降、未完の大器として多くの期待を集め、レースの度に「ついに本格化か」と言われてきたサリオスだが、期待されるほどの結果を残せずにいる。
そんなもどかしい時を過ごす陣営とサリオスにとって、切り札として期待したいのがレーン騎手だろう。同騎手とサリオスの成績はここまで(1.2.1.0)と相性は良好。新馬戦では今回と同じ東京の芝マイル戦でデビュー戦勝利を挙げた。
世界で活躍する名手を配した万全の構えで、サリオス自体の臨戦過程も順調な今回、納得のいく結果が出なければ、ここまで短距離に固執してきた陣営にとっては苦しくなる。そうなると、安藤氏が提唱するような距離適性の見直しの必要性も出てきそうだ。また、成長力のあるハーツクライ産駒とはいえ、2歳時の朝日杯フューチュリティS以降のG1勝ちがなく、早熟説まで出てもおかしくない。
3歳時にはコントレイルと比肩する逸材と評価されていただけに、切り札投入で結果を残せるか。結果次第で今後の方向性にも影響しそうな一戦になりそうだ。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。