大器サトノアーサーが毎日杯(G3)出陣! ダイヤモンド級の「衝撃」を生んだ阪神1800mで楽勝ムードも「油断大敵」な理由
その一方でサトノアーサーがデビュー戦で負かした相手は1着だったスズカフロンティアを含め、500万下を勝ち上がった馬は皆無。圧倒的な勝利を飾ったシクラメン賞にしても、現時点で芝の500万下を勝ち上がっているのは本馬ただ1頭である。
ほぼ馬なりのまま突き抜けたシクラメン賞のレースは圧巻の内容であり、上がり3ハロン32.7秒という数字もインパクト十分。だが、先述した通りメンバーレベルには疑問符を付けざるを得ず、3着のアンセムが上がり3ハロン33.0秒の脚を使えていたことも気になる。
この日はシクラメン賞の辺りから雨が降り始め、メインレースが行われる頃には稍重となっていた。そのため、結局良馬場で行われた芝のレースはシクラメン賞を除けば、2歳の未勝利戦と新馬戦だけ。開幕週ということもあって、この日の馬場コンディションは不透明な部分が大きいといえるのだ。
したがって現時点ではっきりしていることは、本馬が前半1000m通過65.3秒という極端な遅い流れなら、上がり3ハロン32.7秒という凄まじい末脚が使えるということだけである。
逆に述べれば、流れが速くなってどうなるのかは「未知数」といえる。
ただ、本馬にとって幸いなのは、この毎日杯が7頭立ての小頭数なのでペースが極端に上がることはまずないといえることだ。想定通りのスローペースから、最後の直線だけで”よーいドン”の競馬になるのなら、この馬の瞬発力は如何なく発揮されるだろう。
ただし、それで勝ち切れる保証はない。毎日杯に出走してくる他のライバルたちは、いわばサトノアーサーを恐れずに残った素質馬たちともいえる。
もしもスローペースからの瞬発力勝負で敗れるようなことあれば、大先輩のサトノダイヤモンドはおろか、目標のクラシック制覇にも大きな暗雲が立ち込めることになる。サトノアーサーにとっては正念場、少数精鋭の面白いレースになりそうだ。