JRA日本ダービー(G1)「重賞勝ち」でも除外……ボーダーは史上最高レベルか。C.ルメール絶賛の「大器」が出走危機、安藤勝己氏の推奨馬は出走絶望に
先週8日のNHKマイルC(G1)で2着に入ったマテンロウオリオンが、29日に開催される日本ダービー(G1)への参戦を決めたことが分かった。前走に続き横山典弘騎手とのコンビで挑む予定だという。
管理する昆貢調教師は「東京の1600mであの脚が使えれば、挑戦してもいいでしょう」とコメント。父は短距離を得意とするダイワメジャーだが、祖母にオークス馬のレディパステルを持つ血統でもあるだけに、立ち回り次第では一発もありそうだ。
なお、収得賞金6200万円を持つ同馬がエントリーを決めたことで、戦前から高いと噂されたダービー出走への賞金ボーダーラインは、さらに上昇することとなった。
ここで、今年の日本ダービーに参戦が想定される馬の一覧を、収得賞金順にして並べてみたい。
1 優先 ジオグリフ
1 優先 イクイノックス
1 優先 ドウデュース
1 優先 ダノンベルーガ
1 優先 アスクビクターモア
1 優先 プラダリア
1 優先 ロードレゼル
1 優先 セイウンハーデス
9 6200万円 マテンロウオリオン
10 3900万円 キラーアビリティ
11 3700万円 アスクワイルドモア
11 3700万円 ビーアストニッシド
13 2900万円 オニャンコポン
13 2900万円 ピースオブエイト
15 2400万円 マテンロウレオ
16 2300万円 ジャスティンパレス
17 2100万円 デシエルト
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18 2000万円 コマンドライン
18 2000万円 ジャスティンロック
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20 1600万円 ポッドボレット
現時点では、デシエルトまでがひとまず出走可能。残る1枠を懸けて収得賞金2000万円のコマンドラインとジャスティンロックの2頭が、2分の1の抽選に挑む構図となっている。
注目すべきは、2頭が共に重賞勝ち馬である点だろう。もし仮に重賞タイトルホースがダービーで除外されるとなると、08年のフサイチアソートなど、極めて稀なケースとなる。今年のダービーはまさに史上最高レベルのボーダーとなりそうだ。
コマンドラインは昨年6月の新馬戦を単勝1.1倍で快勝し、東の一番星に輝いたスターホースである。入線後には場内から拍手が沸き起こり、手綱を務めたC.ルメール騎手も「ダービーまで予約を入れておきます」と語ったほどの器だ。
ここ2戦は精細を欠いているが、ダービーでは2戦2勝の東京に戻るだけに巻き返しも期待される。管理する国枝栄調教師にとっても悲願の牡馬クラシック初制覇が懸かっているだけに、除外の憂き目だけは避けたいところだろう。
もちろん、ジャスティンロックも所有する三木正浩オーナーに初の重賞タイトルをもたらしており、三木氏にとっても思い入れの強い馬であることは想像に難くない。だが、このまま行けば2頭のどちらかは檜舞台に立てないことが濃厚となっている。
さらに、04年の日本ダービーをキングカメハメハで制している元JRA騎手の安藤勝己氏が高評価を下していた「あの馬」は、収得賞金1500万円で既に出走の可能性が絶望的であるようだ。
「ヴェローナシチーですね。前走の京都新聞杯(G2)は2着も負けて強しの内容。安藤氏も自身のTwitterで『一番強い競馬しとる』『ダービー使えればちょっとした穴』と推奨していましたが、こちらも残念ながら除外となりそうです。
なお、同馬は参戦が叶わないようであれば、同日に裏の中京で開催される白百合S(L)に出走するプランもあるみたいですね」(同)
ただ、もちろん現時点で賞金的に厳しいからといって、必ずしも出走が断たれたというわけではない。米国で現地時間の7日に行われたケンタッキーダービー(G1)では、直前で出走枠に滑り込んだリッチストライクが見事な大金星を挙げた。
もしかすると、日本のダービーでも何らかのサプライズが巻き起こるかもしれない。登録馬は15日の夕方にJRAのホームページで発表される予定となっている。出走を巡る各馬のドラマにも引き続き注目してみたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。