JRA武豊「期待」のハーツクライ牝馬が早くも初陣! 母系に日本競馬界を「絶望」させた“伝説級名馬”の血を継承、期待される42年ぶり「再襲来」
5月29日、東京競馬場で開催された競馬の祭典・日本ダービー(G1)は、武豊騎手のドウデュースが2分21秒9のレースレコードで優勝した。
同ジョッキーは現役時代ディープインパクトのライバルだったハーツクライの産駒で、前人未到のダービー6勝目を達成。それと同時に、そのディープ産駒のダービー5連覇を阻止したのは、なかなか興味深い点でもあった。
今週から東西では早くも2歳新馬戦が始まる。5日、東京5Rの牝馬限定・芝1600mでデビューを予定しているのが、ドウデュースと同じハーツクライ産駒で武豊騎手が期待を寄せるビューティーワン(牝2歳、栗東・武英智厩舎)だ。
同馬は2020年のセレクトセール当歳セッションにおいて、「ヒロシゲ」の冠名でもおなじみの有限会社ウエストヒルズが6600万円(税込)で落札。母のディヴィナプレシオーサはチリでG1・2勝を挙げた名牝だ。
4月上旬には早くもゲート試験に合格。先週5月25日の追い切りでは、武豊騎手を背にCウッドで3頭併せを消化。昨年のホープフルS(G1)に出走した3歳1勝クラスのシェルビーズアイに先着を果たしている。
管理する武英師は『サンケイスポーツ』の取材に対し、「豊さんも『フットワークがいいし、動くね』と言ってくれた」と高い評価。またレジェンド自身も公式サイトの日記に「なかなかの動き」と綴っており、手応えを感じている様子。
同じレースにはコマンドラインの妹エルダーサインや、「第2のセリフォス」の呼び声もあるダイワメジャー産駒のメリオルヴィータなどもエントリーを予定。なかなかの好メンバーが揃いそうだが、果たして無事に初戦突破は叶うだろうか。
そんなビューティーワンだが、血統的に注目してみたいのが、母系に1981年のジャパンC(G1)を勝ったメアジードーツの血を受け継いでいる点だ。
母系に日本競馬界を「絶望」させた“伝説級名馬”の血
メアジードーツは1976年に生まれたアメリカの牝馬。同国で32戦11勝、うち重賞4勝という実績を引っ提げて、栄えある第1回ジャパンCの招待馬として来日した。
G1勝ちが無かったため、当時の日本では伏兵扱いだったものの、レースでは逃げたサクラシンゲキが飛ばしたハイペースのなか、最後の直線で馬場の真ん中を突き抜けて見事に優勝している。
「当時の日本で最強クラスだったホウヨウボーイやモンテプリンスが、それほど評価の高くなかったメアジードーツに全く歯が立たなかったことで、日本の競馬関係者たちが絶望したという有名な逸話も残っていますね。
そのインパクトはまさに黒船襲来にも例えられたようで、優勝したメアジードーツは今でも伝説的な名馬として語り継がれています」(競馬誌ライター)
なお勝ち時計の2分25秒3は、当時の東京芝2400mのレコードをジャスト1秒更新。エリモジョージが保持していた日本レコードも0秒5上回る驚異的なタイムであった。
それから40年以上が経過し、日本ダービーの勝ちタイムももはや2分21秒台に突入したが、その時計を記録した武豊騎手が、翌週にメアジードーツの血を引く2歳新馬に騎乗するというのも、何となく感慨深いものがある。
そんな伝説的名馬の血を受け継いだビューティーワンが来春、東京2400mの舞台に「再襲来」するかどうかにも注目してみたいところだ。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。