JRA武豊も「異論」なしの凱旋門賞に賛否の声!? エルコンドルパサー、オルフェーヴルと何が違うのか…是非を問われる陣営の判断

ドウデュース

 陣営の下した判断はどのような結果となるだろうか。

 今年の日本ダービー(G1)を制し、3歳世代の頂点に立ったドウデュース(牡3、栗東・友道康夫厩舎)は、10月2日にフランスのパリロンシャン競馬場で開催される凱旋門賞(仏・G1)への挑戦を表明した。

 前哨戦を使わずに直行することには、主戦の武豊騎手も賛同。国内である程度調整した上で現地へと向かうプランが濃厚のようだ。

 ドウデュースを管理する友道康夫調教師は、2016年にマカヒキで凱旋門賞に挑んだ過去もある。このときは、前哨戦のニエル賞(仏・G2)を制して出走したものの、本番では14着に大敗した苦い記憶もある。経験豊富な名伯楽が直行を選択し、海外競馬の経験を持つ武豊騎手も賛同したのであれば、陣営の決断は尊重されるべきだろう。

 しかし、やはり懸念されるのは、過去に直行で凱旋門賞に出走した日本馬の成績が思わしくないことだ。

エルコンドルパサー、オルフェーヴルと何が違うのか

 最強馬といわれたあのディープインパクトが挑んだ2006年でさえ、ゴール前で交わされて3位入線。レース後に禁止薬物の検出が発覚して失格という残念な結果に終わった。2着に敗れたとはいえ、過去に勝ち負けを演じた1999年エルコンドルパサー、2010年ナカヤマフェスタ、2013年と2014年のオルフェーヴルは、前哨戦を使われていた。

 スピード重視の軽い馬場が特徴である日本と、スピードだけでなくパワーも求められる欧州の馬場の違いも影響しているとはいえ、馬場適性が不鮮明なまま、いきなり本番で好走を望むのは難しいかもしれない。

 凱旋門賞制覇を最大目標に定めたエルコンドルパサー陣営は、勝つためには欧州仕様の馬にする必要があると考え、長期滞在を選択した結果の好走でもあった。欧州初戦のイスパーン賞(仏・G1)でクロコルージュの2着に敗れはしたが、現地の競馬を経験することにより、走法や体格に変化が見られたともいう。

 また、エルコンドルパサーやオルフェーヴルが、歴代最強クラスといえるポテンシャルの持ち主だったことを考えると、ドウデュースに過度の期待をするのも少々酷か。前述2頭にスケールで見劣るナカヤマフェスタが健闘したのは、まるで田んぼのような極悪馬場で開催された2009年の日本ダービーで、最速上がりタイの末脚で4着に食い込んだように、パワーを要する馬場に対する適性の裏付けもあった。

 そういう意味では、今年のダービーを2分21秒9というレースレコードで勝利したドウデュースのスピードが、パワー重視の欧州で歓迎材料になるとも考えにくい。

 海外遠征が初めてではない武豊騎手と友道調教師が、現状でベターと考えての直行なら、外野がとやかくいうことでもないのは重々承知している。

 ただ、現地で前哨戦を使ったからといって、必ずしもそれが勝つための条件とは言えないが、使われなかった馬の好走例がないこともまた事実。武豊騎手が「夢」と公言する凱旋門賞だけに、好走例のないステップで挑むことは懸念材料となりかねない。

 ネットの掲示板やSNSなどでも、ファンの間で賛否が分かれている凱旋門賞直行。この判断が吉と出るか凶と出るか……。答えの出る秋を待ちたい。

(文=黒井零)

<著者プロフィール>
 1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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