JRA安田記念(G1)4連勝中の超新星イルーシヴパンサーに危険信号!? 偏り過ぎた主戦・田辺裕信のG1成績に愕然…3着以内すら怪しい理由
今週日曜に東京競馬場で行われる安田記念(G1)。今年はグランアレグリアやインディチャンプなどの大物が現役を退いた事で混戦模様となっており、新たな王者の誕生を予感させる。
出走馬の中で最も勢いがあるのは、昨年6月に1勝クラスを突破してから怒涛の4連勝で東京新聞杯(G3)を制したイルーシヴパンサー(牡4、美浦・久保田貴士厩舎)だろう。
安田記念と同コースで行われた東京新聞杯を鮮やかに差し切った事を評価されてか、『netkeiba.com』の予想単勝オッズではシュネルマイスターに次ぐ2番人気に支持されている。
ただ、G1制覇のビッグチャンスに思える今回、鋭い末脚を武器としているイルーシヴパンサーで自身の殻を打ち破りたいのが、主戦の田辺裕信騎手の騎乗スタイルだ。
田辺騎手がG1で馬券になるパターンとは
というのも、田辺騎手のこれまでのG1成績を見てみると、好走したレースのほとんどが「先行」した場合に限られている。
過去に同騎手がG1で3着以内に入ったのは計13回。その内11回が3コーナー5番手以内。特に2016年以降、3着以内に入った8レースでは全てが3番手以内となっている。
実際に同騎手のG1勝ち2勝は、2014年のフェブラリーS(G1)のコパノリッキーが2番手追走、2016年の安田記念でのロゴタイプは逃げ切りと、いずれも先行してのもの。また先週の日本ダービー(G1)でも、7番人気アスクビクターモアに騎乗し2番手追走から3着に好走した事は記憶に新しい。
ところが、この結果とは裏腹に田辺騎手はG1騎乗の約6割が中団より後方でレースを進めている。もちろん、作戦や、馬のリズムを重視しての結果ではあるのだろうが、良い結果に繋がったケースはほとんど見受けられないのが実情だ。
近年で印象的なのは、昨年の菊花賞(G1)でのアサマノイタズラだろう。
5番人気に支持されて臨んだ同馬は、前走セントライト記念(G2)で11番手追走から差し切り勝ちを収めていた。とはいえ、本番ではまさかのしんがりを追走。結局タイトルホルダーが逃げ切り勝ちを収めた同レースで、アサマノイタズラは上がり最速の脚を繰り出しながら9着に敗れている。
そしてイルーシヴパンサーは、前走の東京新聞杯では15頭立ての14番手追走からの差し切り勝ちを収めている。それ以前のレースでも中団後方での組み立てで結果を出してきており、安田記念で唐突に先行策を取る事は考えづらい。
今回も同馬の末脚を活かす競馬をする可能性は高いと考えられるが、鞍上の過去の実績から「後方からの田辺騎手」が信頼しづらい面があるのは否めない。
田辺騎手が快進撃を見せるイルーシヴパンサーと共にG1の舞台で一皮むける事が出来るのか、注目したい。
(文=椎名佳祐)
<著者プロフィール>
ディープインパクトの菊花賞を現地観戦し競馬にのめり込む。馬券はアドマイヤジャパン単勝勝負で直線は卒倒した。平日は地方、週末は中央競馬と競馬漬けの日々を送る。