JRA福永祐一「届きませんでした」で7億円が紙くずに……。クラシック候補の大本命を襲った立て続けの試練にファンは阿鼻叫喚
ソングラインの優勝に沸いた今年の安田記念(G1)。見事な手綱捌きで勝利へ導いた池添謙一騎手のエスコートが光った。2着に負かしたシュネルマイスターは、昨年のNHKマイルC(G1)をハナ差で交わされた因縁の相手。約1年越しのリベンジ達成に、池添謙一騎手も「今日も本当によく頑張ってくれた」とパートナーを労った。
好調の池添謙一騎手は、9RのホンコンジョッキークラブT(2勝クラス・芝2000m)でも4番人気の伏兵ピュアブレンドで快勝。
だが、その結果、多くのファンが阿鼻叫喚を極めた。
なぜならこのレースには、単勝オッズ1.2倍に支持されたドゥラドーレス(牡3、美浦・宮田敬介厩舎)が、確勝級の大本命に推されていたからである。
同馬は、日本ダービー(G1)出走に向けて使われた前走の毎日杯(G3)で、3着に敗れて賞金加算に失敗。一時は秋まで休養という話も出ていた。前走でコンビを組んだ戸崎圭太騎手から福永祐一騎手にスイッチしての出走でもあり、秋に向けて絶対に負けられないレースだったといえるだろう。
クラシック候補の大本命を襲った立て続けの試練
ただでさえ、前日の土曜に3歳馬が古馬を相手に圧倒的な好成績を収めたことも話題となっており、重賞級の実力馬と目されたドゥラドーレスに人気が集中したのも不思議ではない。
しかし、まさかの3着に敗れた結果は、「競馬に絶対はない」という格言を痛感させられるものだった。
「スタートからある程度(気持ちを)乗せていきました。スローペースで縦長の展開の中、最後は地力だけで走っていましたが、届きませんでした」
レース後のコメントで福永騎手がそう悔やんだように、7頭立てで行われたレースは、前半1000mの通過が63秒6という超が付くほどのスローペース。後ろ過ぎる位置取りが仇となったドゥラドーレスも、前の馬を捕まえるまでには至らなかった。
そして、この敗戦に納得がいかなかったファンの怒りの矛先が、道中で後方待機策を選択した福永騎手へと向いたのもまた、当然の成り行きだったかもしれない。
「スタートはそれほどいい訳ではありませんでしたが、ドゥラドーレスの行きっぷりは悪くありませんでした。ですが、福永騎手は折り合い重視の競馬を選んだのか、何度か手綱を引っ張っていましたね。
全周パトロールの映像を確認してみると、ドゥラドーレスが道中でずっと首を上げ下げしている姿が見て取れます。ここまで馬と喧嘩をするなら、もう少し積極的に位置を取りに行っていれば、もっと際どかったのかなとも思いました」(競馬記者)
2番手から抜け出した勝ち馬のピュアブレンドの駆使した上がり3ハロンが33秒2なら、逃げて2着に粘り込んだモンテディオのそれは33秒5。ドゥラドーレスも最速となる33秒0の末脚を駆使したものの十分にアドバンテージがあった前の馬は、そう簡単に止まらなかった。
ネットの掲示板やSNSなどでは、「体内時計が狂っている」「道中ずっと馬が嫌がっていた」「何のための乗り替わりだったの?」といった厳しい声も出る始末。鞍上、陣営共に悔いが残る結果に、勝利を疑わなかったファンも阿鼻叫喚だ。
しかも、ドゥラドーレスと福永騎手のコンビが、断然人気を裏切った9Rはこの日、JRAが指定する5レースの1着馬を当てる券種・WIN5対象レースの1つ目。勝ち馬にドゥラドーレスを指名したファンも多かったのだろう。約790万の投票から生き残ったのは、わずか3.7%ほど……。金額にすると約7億6000万が1レース目で紙くずと化した。
絶対に負けられないレースを不完全燃焼で連敗したドゥラドーレス。運も実力の内ということわざもあるが、それにしても立て続けの試練だったといえる。
(文=黒井零)
<著者プロフィール>
1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。