JRA 6馬身圧勝も福永祐一から公開説教!? 武豊「お墨付き」中京巧者の期待値はチュウワウィザード以上……ダートの新星に「終始辛口」だったワケとは
12月のチャンピオンズC(G1)へ、覚えておきたい1頭だ。
12日、この日は函館で函館スプリントS(G3)、東京でエプソムC(G3)の2重賞が行われたが、その谷間でド派手なパフォーマンスを見せつけたのが、芦毛の新星ハヤブサナンデクン(牡6歳、栗東・吉村圭司厩舎)だ。
唯一重賞開催のなかった中京のメイン・三宮S(OP、ダート1800m)に出走したハヤブサナンデクンは、最後の直線半ばで豪快に抜け出すと、あとは独走。流し気味にゴール板を通過する頃には、2着ニューモニュメントに6馬身差をつける圧勝劇になっていた。
ここまで15戦4勝と、決して目立つ存在ではなかったハヤブサナンデクン。むしろ、目を引く芦毛の馬体と、そのユニークな名前が先行する存在だった。
しかし、オープン昇級2戦目となったこの日は、1000m通過が60.1秒というタイトなペースを楽に追走すると、余力十分に最後の直線へ。見る見る内に後続を突き放し“ワンサイドゲーム”を達成している。
なお、勝ち時計の1:50.0は昨年、同コースで行われたチャンピオンズC(G1)でテーオーケインズが記録した1:49.7と0.3秒差。あくまで額面上だが、6馬身差の2着だったチュウワウィザードとの間に入っていたことになる。
「以前騎乗した武豊騎手も『左回り、特に中京では強い』と話していましたが、中京はこの日の勝利も含めて、5戦3勝2着2回の連対率100%と大の得意にしている舞台ですが、まさかここまで強烈なパフォーマンスを発揮するとは思いませんでした。ペースが流れてスタミナ勝負になりましたが、まさに独壇場でしたね。
蟻洞で1年半休んでいたこともあって、6歳ですがまだまだ馬が若い印象です。今回と同じ舞台で行われるチャンピオンズCで見たい1頭ですね」(競馬記者)
だが、目の覚めるような圧勝劇を飾ったハヤブサナンデクンへ、意外にも“ケチ”をつけたのが鞍上の福永祐一騎手だったようだ。
福永騎手「最後まで本気で走ってない」
「意外だったのが、レース後の福永騎手のコメント。『最後まで本気で走ってない』と注文を付けると『あがってきてもケロッとしている。まだレースで調教の走りができてない』と、圧勝したとは思えない手厳しい内容でした。
ただ、福永騎手は期待馬に対して辛口になることの多いジョッキー。辛口コメントは、やはり期待の裏返しでしょうね。今回が初コンビでしたが、もしかしたらこの馬と大きなところを狙っているのかもしれません。いずれにせよ、今後が楽しみですよ」(同)
「(気持ち)前向きになれば、もっといいパフォーマンスができる」
レースこそ最後は流してゴールしたが、勝利騎手インタビューでは最後まで尻を叩くことを忘れなかった福永騎手。バーデンヴァイラーやグロリアムンディといったダートの上がり馬を次々に手掛ける名手が、“第3の矢”としてハヤブサナンデクンをロックオンしたのかもしれない。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。