JRA宝塚記念(G1)打倒エフフォーリアに“チームノルマンディ”が「秘策」あり!? タイトルホルダー強力援護のカギとは
ライバルと3戦全敗という目を逸らせない現実――。
これはタイトルホルダー(牡4歳、美浦・栗田徹厩舎)が、エフフォーリア(牡4歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)と直接対決となった際の通算成績だ。
同世代のライバル2頭は昨年、皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)、有馬記念(G1)という3つの大レースで顔を合わせたが、その全てでエフフォーリアが先着。タイトルホルダーとしては宝塚記念(G1)で“四度目の正直”を果たしたいところだろう。
12日夕方にはJRAから特別登録20頭が発表され、2週間後に迫った上半期グランプリレースの全陣容が見えてきた。
当然の注目は、横山武史騎手のエフフォーリアと横山和生騎手のタイトルホルダーによる2頭の激突だろう。レース当日までどちらが1番人気に支持されるかわからないという声すら出ているほどだ。
登録された20頭の中にエフフォーリアを含めてノーザンファーム生産馬は7頭。これに対抗しようと社台ファームなどが多頭数出しを試みる。そんな中、タイトルホルダーを中心としたチームノルマンディもまた虎視眈々と勝利を狙っている。
岡田牧雄氏は自身が代表を務める岡田スタッドのタイトルホルダーとその半姉メロディーレーンを出走させるほか、2年前の三冠牝馬デアリングタクト(馬主=ノルマンディーTR)、ウインマリリン(馬主=ウイン)、そしてマイネルファンロン(馬主=サラブレッドクラブ・ラフィアン)といった系列馬を宝塚記念に送り込む。
もちろんデアリングタクトをはじめ、それぞれ勝利を目指しての出走にはなるが、もしかしたら牝馬3頭の出走は、タイトルホルダーを援護することになるかもしれないという。
これが意味するものとは何なのか。
「2強対決で盛り上がりそうな今年の宝塚記念ですが、タイトルホルダーは前走の天皇賞・春(G1)から一気の距離短縮、エフフォーリアは長距離輸送という課題が残っています。長距離G1を2勝しているステイヤーでもあるタイトルホルダーは、パンサラッサという存在がいる中、2200mでもその先行力を発揮できるかに注目が集まります。
一方で、エフフォーリアは前走の大阪杯(G1)が9着という案外な結果でした。初の関西圏への長距離輸送で調整に狂いが生じたことが敗因とされていますが、陣営からは他にも気になるコメントが出ていました」(競馬誌ライター)
『デイリースポーツ』によると、大阪杯後に鹿戸師が敗因の一つとして挙げていたのは、「枠の両サイドが牝馬だったので、鳴きながらゲートに入っていた」と、牝馬に挟まれた枠順だった。
エフフォーリアの枠の並びを全て調べてみたところ、デビュー戦と3戦目はどちらも隣の枠が牝馬だったが、両サイドが牝馬だったのは前走が初めて。陣営の読み通り、左右にいた牝馬の存在がエフフォーリアのパフォーマンスを下げていたとすれば、“チームノルマンディ”が送り込む3頭の牝馬が“刺客”になってもおかしくはないだろう。
万が一、この3頭がエフフォーリアを包囲するような枠の並びになれば、タイトルホルダーの強力な援護射撃となる可能性も十分にありそうだ。
(文=中川大河)
<著者プロフィール>
競馬ブーム真っただ中の1990年代前半に競馬に出会う。ダビスタの影響で血統好きだが、最近は追い切りとパドックを重視。