川田将雅以上の恩恵!?「C.ルメール不在」で武豊が大躍進!
5年連続リーディングのC.ルメール騎手が、約1か月という長期の海外渡航に出ている今年の夏競馬。現在84勝を挙げて首位を走る川田将雅騎手にとっては、自身初のリーディング獲得を盤石なものにする絶好の機会だが、“鬼の居ぬ間に……”もう1人調子を上げているジョッキーがいる。レジェンド・武豊騎手だ。
「涼しい気候のなか充実した時間が過ごせました」
今週更新された自身の公式ホームページにもそう綴られている通り、武豊騎手はこの夏、北海道の函館にほぼフル参戦。本土では猛暑日も続いた7月だが、武豊騎手にとってキャリア初の“避暑”は概ね好結果を呼んでいる。
ここまでリーディング13位の41勝と、かつてのリーディングジョッキーとしてはまだまだ本調子とは言えない成績だが、それでも函館遠征を敢行したこの1か月半で10勝と勝ち星の量産に成功。今週末から札幌が拠点になるが「23度ぐらいで快適です」と、函館に続く長期滞在を予定している。
「涼しい函館に滞在したことも大きいですが、やはりルメール騎手不在の影響も見逃せませんね。というのもルメール騎手と武豊騎手は、共に(エージェントの)豊沢信夫氏が騎乗仲介を担当しているジョッキー。つまり普段の武豊騎手は“セカンドドライバー”ですが、今は“ファースト”になるわけです。これは大きいですよ」(競馬記者)
記者曰く、今夏、武豊騎手の初の北海道滞在が実現したのも、毎年この時期に北海道を拠点にしているルメール騎手の不在が大きく関係しているという。無論、5年連続リーディングジョッキーの騎乗馬が、そのままそっくり武豊騎手に流れたわけではないが、下記の通り、有力馬に騎乗する機会は明らかに増えている。
◆武豊騎手 2022年成績
・函館以外
騎乗:269回 勝率11.7%、連対率23.1%、3着以内率36%
1番人気:39回(14.5%)、2番人気:43回(16%)、3番人気:41回(15.2%)
・函館
騎乗:65回 勝率15.4%、連対率33.8%、3着以内率41.5%
1番人気:15回(23%)、2番人気:10回(15.4%)、3番人気:10回(15.4%)
特筆すべきは14.5%から23%に跳ね上がった1番人気の増加だろう。勝ち星の増産に直結する値だ。だが、その恩恵もあって10勝を挙げた半面、2着が12回と“取りこぼし”も多かった。これには本人も「惜しいレースが多過ぎた」と課題に挙げ「函館で取りこぼした分はこの札幌で取り返すつもり」と反撃を予告している。
その札幌では、あと1勝に迫っているJRA重賞350勝も期待されている武豊騎手。特に本人が「なんとかしたい」と語る来週のクイーンS(G3)では、今春の桜花賞(G1)2着馬ウォーターナビレラがスタンバイしている。
「メンバー的には、ウォーターナビレラが頭一つ抜けた人気になりそうですが、今年もなかなかの好メンバーが揃った印象です。中でも今春のヴィクトリアマイル(G1)で4着に好走したローザノワールは強敵になるかも。鞍上の田中勝春騎手も、先日の七夕賞(G3)で久々に重賞を勝って気分を良くしていますからね。
他にも愛知杯(G3)を武豊騎手とのコンビで勝ったルビーカサブランカ、その愛知杯とマーメイドS(G3)で2着しているマリアエレーナ、昨年の覇者テルツェット、連勝中の良血馬メイサウザンアワー辺りが有力候補に挙げられています。
ウォーターナビレラは弟の幸四郎調教師の管理馬ですし、武豊騎手としても、ここで節目の1勝を挙げておきたいところでしょうね」(同)
武豊騎手にとって、札幌は「好きなコースの一つ」と語っている通り、かつて重賞騎乗機会6連勝を達成したコース。通算成績も、勝率20%こそ小倉にわずかに劣っているものの、連対率36.2%、3着以内率48.9%は競馬場別で共に最高の成績だ。
来月27,28日には3年ぶりとなるワールドオールスタージョッキーズが開催される札幌。ワールドスーパージョッキーズシリーズ時代を含め、1992年以来の優勝を目指す武豊騎手も燃えているはずだ。
(文=大村克之)
<著者プロフィール>
稀代の逃亡者サイレンススズカに感銘を受け、競馬の世界にのめり込む。武豊騎手の逃げ馬がいれば、人気度外視で馬券購入。好きな馬は当然キタサンブラック、エイシンヒカリ、渋いところでトウケイヘイロー。週末36レース参加の皆勤賞を続けてきたが、最近は「ウマ娘」に入れ込んで失速気味の編集部所属ライター。