武豊「ダービー馬候補」の降板で白羽の立った後継者は
今年2月の水仙賞(1勝クラス)4着の後、休養に入っていたトゥデイイズザデイ(牡3歳、栗東・池江泰寿厩舎)が31日、新潟の出雲崎特別(1勝クラス)での復帰を予定している。鞍上は新コンビの福永祐一騎手になる見込みだ。
ディープインパクト産駒の同馬は、昨年9月のデビュー戦を単勝オッズ1.7倍で快勝。血統的にも兄ヴィヴァンはデビュー戦で後のダービー馬シャフリヤールをクビ差まで追い詰めた期待馬だっただけに、弟の勝利はファンの間でも話題となった。そして手綱を取った武豊騎手がレース後、「能力を感じる。今後が楽しみ」と絶賛したこともあって、一躍クラシック候補に躍り出た。
しかし、その後は京都2歳S(G3)6着、梅花賞(1勝クラス)でも2着に敗れるなど思うように結果が出ず。先述の水仙賞を取りこぼしたところで春クラシックを断念し、放牧に出されるという残念な結果に終わった。
武豊「ダービー馬候補」の降板
前走の敗戦後には武豊騎手が「道中、余計なところで噛んだりしていた」とコメントするなど、春先はまだ精神面でも課題があったか。また、450キロ台の馬体も数字以上に華奢に映った。
ただ、後に重賞ウィナーとなるジャスティンロックを相手に初戦で完勝しているのだから、能力があるのは確かだろう。充電期間を経て、心身ともにどれだけ成長した姿を見せてくれるか楽しみな一戦となりそうだ。
一方で、トゥデイイズザデイの手綱を譲ることになったのが武豊騎手である。
同馬と新馬戦を勝った後は公式サイトの日記にも「乗り味のいい馬なので、どんな競馬でもできそう」と綴るなど、センスの良さをべた褒め。これまでキャリア4戦全てのレースでコンビを組んできた。
ただ、レジェンドはこの夏は北海道に拠点を構えており、31日は札幌のクイーンS(G3)でウォーターナビレラに騎乗予定のため、今回ばかりは乗り替わるのもやむなしか。福永騎手はあくまで代打と捉えることもできるだろう。
だが、もしかするとこの先も手綱が戻って来ないということも考えられるかもしれない。
その理由の1つとして、武豊騎手は昨年の朝日杯FS(G1)で、お手馬のドウデュースとアルナシームがバッティング。前者を選んだことで後者は福永騎手とのタッグが決定。その後、同ジョッキーは香港への遠征が決まったため、最終的には池添謙一騎手が騎乗して4着に善戦した。
この一戦の後、アルナシームは再びレジェンドの元に戻るのかと思いきや、次走のつばき賞(1勝クラス)から先月快勝した城崎特別(1勝クラス)に至るまで、福永騎手が乗り続けているという例がある。
また、武豊騎手はトゥデイイズザデイを管理する池江師との距離が、ここのところ遠ざかりつつある。実は水仙賞の後、同厩舎の管理馬にはキスラーわずか1頭しか乗っていない。
そのキスラーは武豊騎手の熱烈なファン・キーファーズ松島正昭氏の所有馬であるため、厩舎からの依頼というよりもオーナーからの要望という見方が強い。となると、実質的な騎乗依頼はここ5ヶ月のあいだ途絶えているといってもいいだろう。
「池江厩舎所属で武豊騎手のお手馬だったディープモンスターも、4月の大阪ハンブルクC(OP)で川田将雅騎手への乗り替わりが発表されていました。同馬は最終的には回避しましたが、名門と武豊騎手が疎遠になりつつあるというのは確かかもしれません。
これらのことを踏まえると、トゥデイイズザデイも今後は福永騎手が手綱を取り続けるということも十分にありえそうです」(競馬誌ライター)
武豊騎手は3歳世代、ともに日本ダービー(G1)を勝ったドウデュースという絶対的なお手馬がいる。しかし、今秋は海外レースへの出走を予定しているだけに、国内の有力馬の放出となるとやや痛手となるかもしれない。
とはいえ、次戦以降にコンビが復活するという可能性ももちろんあるだろう。まずはトゥデイイズザデイが復帰戦でどのような走りを見せてくれるのか楽しみにしたい。
(文=冨樫某)
<著者プロフィール>
キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。