C.ルメールやM.デムーロでも逆効果……絶不調トレーナーが札幌記念で勝負気配
8月2週目も終了し、夏競馬もいよいよ大詰めを迎えている。
14日終了時点でのリーディングをみると、調教師部門でトップを走るのは関西の名門・池江泰寿厩舎だ。
池江厩舎といえば、あの3冠馬オルフェーヴルを育て上げ、過去に全国リーディングを3度も獲得しているトップステーブル。昨年は12位に終わり、長年ランクインしていたトップ10から陥落したものの、今年は息を吹き返すような活躍ぶりを見せている。ここまでG1勝利こそないが、重賞はすでに4勝と好調が目立つ。
その一方で、不振にあえぐのが関東の手塚貴久厩舎である。
49連敗を喫する大スランプも
1999年に開業した手塚厩舎は、これまで全国リーディングでは2015年の9位が最高だったものの、昨年はキャリア初の5位にランクイン。夏には同じ関東の大竹正博厩舎が調教停止処分を受けた影響で、約2か月間に渡り預ることになった管理馬58頭のうち、5頭で勝利を挙げたのも好調に拍車をかけたかもしれない。
とはいえ、重賞ではG1・2勝を含む7勝を挙げるなど、関東1位の国枝栄厩舎(重賞6勝)をしのぐ活躍。昨年同様、更なる飛躍をファンも期待していたはずだ。
ところが、今年は一転して不調が続いている。重賞は20戦して未勝利で、全国リーディングも54位と大きく低迷。一時は、5月から7月にかけて49連敗を喫する大スランプも経験した。
では何故、昨年あれほど好調だった手塚厩舎が、ここまでの不振に陥っているのか。その背景には、勝ち頭であったC.ルメール騎手の不調が影響しているかもしれない。
昨年は手塚厩舎の全45勝の内、約3分の1に及ぶ13勝を挙げたルメール騎手。重賞でもシュネルマイスターとのタッグでNHKマイルC(G1)や毎日王冠(G2)を制した。コンビでの成績は「13-6-2-6/27」で勝率48.1%と驚異的な数字をマークしていた。
しかし、そんな頼りのルメール騎手が今年は手塚厩舎の管理馬で僅か3勝のみ。自身も今年の重賞勝利はスターズオンアースのオークス(G1)のみで、全国リーディング6位と振るわない。そういったことも、手塚厩舎には大きな痛手となっているだろう。
また、同じようにM.デムーロ騎手とのコンビでも不発が目立つ。
昨年、手塚厩舎の管理馬ではユーバーレーベンで4回、マイネルファンロンで1回の計5回に騎乗したデムーロ騎手。いずれも重賞だったが、オークスと新潟記念(G3)を制するなど勝負強さを発揮した。
ところが、今年はこれまで13回と一気に騎乗数は増えたものの、僅か1勝のみ。そのうち10回は1~3番人気の上位人気馬なのだから、手塚厩舎にとっては期待ハズレと言わざるを得ない結果といえよう。
「以前から、手塚厩舎は勝負どころで外国人騎手を起用することが多いです。実際、G1・8勝のうち勝利しているのは全て外国人騎手。そのうち、ルメール騎手はフィエールマンとシュネルマイスターで4勝、デムーロ騎手はユーバーレーベンで1勝しています。
近年はルメール騎手とデムーロ騎手が日本に移籍したこともあって、起用することも多くなっていますが、今年は2人とも人気に応えられない場面が多く見受けられます。再浮上のカギは、この2人に懸かっているのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
今週末に行われる札幌記念(G2)では、ウインマリリンとユーバーレーベンの2頭出しとなる手塚厩舎。前者には松岡正海騎手、後者にはデムーロ騎手が騎乗を予定している。
いずれもG1好走実績のある馬だけに、勝負気配も伝わってくる。悪い流れを断ち切るためにも、ここは結果が欲しいところだ。