池添謙一「リストラ」疑惑から確信へ…コントレイル世代の実力馬が新コンビ結成
かつて蜜月関係を築いていた両者の間に一体何があったのだろうか。
6月の鳴尾記念(G3)を制したヴェルトライゼンデ(牡5、栗東・池江泰寿厩舎)が、次走に中山競馬場で行われるオールカマー(G2)を戸崎圭太騎手と新コンビで予定していることが分かった。
同馬は、屈腱炎から約1年5ヶ月ぶりとなった復帰戦で見事な勝利。コントレイルが無敗の三冠を達成した2年前のクラシック戦線では、三冠阻止を期待された実力の持ち主でもあった。
そして、その背中を任されていたのが池添謙一騎手だ。2011年の三冠馬オルフェーヴルも池江厩舎の管理馬であり、その兄ドリームジャーニーもまた池添騎手が主戦を務めていた馬。その代表産駒の1頭といえるヴェルトライゼンデは、血統的にも厩舎的にも縁のある相手だった。
池添騎手としても、クラシックを共に戦ったパートナーの復帰を心待ちにしていたはずだが、前走で手綱を取ったのはD.レーン騎手。結果的に勝利したものの、同日の中京競馬場で池添騎手が騎乗していたことを考えれば、少々意外な乗り替わりにも映る。
これには、ネットの掲示板やSNSなどでも「あれ?池添は?」「まさかのコンビ解消……」「レーンがいる間だけ?」といった声が出たのも当然か。振り返ると、この時点で池添騎手とヴェルトライゼンデ陣営の間に不協和音が生じていたかもしれないが、レーン騎手が帰国した後も、戸崎騎手が起用されたということは、コンビ解消が決定的だったことを意味する。
確かに伏線らしきものはあった。
「リストラ」疑惑から確信へ…
以前は主力級の騎乗依頼数のあった池添×池江コンビだが、近年は年間を通しても一桁台。昨年に2鞍まで落ち込むと、今年は8月半ばできさらぎ賞(G3)の1鞍のみ。代わりに若い世代の騎手の騎乗依頼が増えただけに、まるでリストラでもされた感じである。
「三冠コンビとしてもファンの多い2人ですから、ヴェルトライゼンデだけでも続投して欲しかった気もします。両者の間に何かしら確執でもあったのでしょうか。
詳しいことは分からないですが、松山弘平や荻野極、岩田望来ら少し下の世代の騎手が、騎乗依頼数を伸ばしましたから、ちょっとした世代交代みたいなものですかね」(競馬誌ライター)
全国リーディングでも松山騎手や岩田望騎手はトップテンに入る好成績。そして池江厩舎は調教師リーディングでトップ(8月14日現在)なのだから、出番が減ってしまった池添騎手には皮肉な話だ。
かといって池添騎手の手腕が大きく落ち込んだわけでもない。今年も既に重賞で6勝を挙げる活躍を見せ、ソングラインを安田記念(G1)勝利に導いたようにまだまだ健在である。
レーン騎手は一発回答で勝利したが、むしろプレッシャーを受けるのは、新たな鞍上の戸崎騎手の方かもしれない。中途半端な騎乗をしてしまうと、ファンから「池添の方がよかった」という声が出てもおかしくないだろう。
いずれにしても、世代を牽引したコントレイルが引退して種牡馬入りした今、同世代のヴェルトライゼンデが、こうして無事にターフへ戻ってきたことは朗報だ。オールカマーでどのような走りを披露してくれるのか、期待して待ちたい。