「幻のダービー馬弟」が武豊と初陣! オーナーは勝ち上がり率「100%」の新星

 怪我に泣いた兄の無念を晴らせるだろうか。

「幻のダービー馬弟」が武豊と初陣!

 昨年のセレクトセール1歳セッションにおいて1億4850万円(税込)で取引されたフォトンブルー(牡2歳、栗東・武幸四郎厩舎)が、武豊騎手を背に28日の札幌・芝1800mでデビューを予定していることが分かった。

 同馬は父ハーツクライ、母シルヴァースカヤということで、今は種牡馬として活躍しているシルバーステートの半弟にあたる血統だ。

 兄のシルバーステートは現役時、初戦こそ2着に敗れたものの、続く未勝利戦と紫菊賞(500万下・当時)を連勝。一躍クラシックの主役候補にまで躍り出たが、屈腱炎を患ってしまい長期休養を余儀なくされることに。

 約1年7ヶ月ぶりの復帰戦を白星で飾ると、次戦の垂水S(1600万下・当時)でも勝利を収めたが、屈腱炎を再発。志半ばでターフに別れを告げた。

 キャリア5戦全てで手綱を務めた福永祐一騎手は後に「そのエンジン性能にボディが持たなかった」と語っており、ファンの間では「未完の大器」「幻のダービー馬」などと呼ばれるようになったのもある意味当然か。

 スタッドイン後も初年度から191頭の繁殖牝馬を集める人気ぶりで、3連勝でファンタジーS(G3)を制したウォーターナビレラなどの活躍馬を1年目から輩出している。

 今回のフォトンブルーは、そのウォーターナビレラで兄に初重賞のタイトルをプレゼントした武豊騎手とコンビを組み、手掛けるのも同じく武幸厩舎ということから、何かしら不思議な縁のようなものを感じなくもない。

 陣営はフォトンブルーについて「全体的に緩いけど、動きはいいね。距離もあっていいし、おとなしくて何の癖もない」と、『スポーツ報知』の取材にコメントを残している。初陣でどのような走りを見せてくれるのか楽しみにしたい。

 そんな期待馬フォトンブルーを所有するのが、今年が馬主歴1年目の新鋭オーナー・TNレーシングだ。

 同オーナーは今年6月に開催された東京ダート1400mの2歳新馬戦で、所有馬のモルチャンが豪快な差し切り勝ち。馬主として見事にJRA初出走初勝利の快挙を成し遂げた。

 7月の福島では2頭目のサイブレーカーがデビュー。初戦は惜しくもナチュラルハイの2着に敗れたが、今月6日の新潟・芝2000mの未勝利では単勝1.9倍の支持に応えて勝利を収めている。

 ここまで勝ち上がり率は驚異の100%。連対率もパーフェクトなのだから恐れ入る。ちなみにサイブレーカーはこの後、11月に阪神競馬場で行われる京都2歳S(G3)に出走予定。結果次第ではクラシック戦線に乗ってくるかもしれない。

「TNレーシングは今年のセレクトセールでも、キンシャサノキセキの近親でエリカヴィータの半妹になるマルシアーノの2021や、ダノンスプレンダーの下にあたるメジロスプレンダーの2021など、計4頭を落札していますね。

ここまでデビューした全頭が勝ち上がるなど、まさに“持っている”新星のオーナーだけに、これから注目度も高まってくるのではないでしょうか」(競馬誌ライター)

 そんなTNレーシングがセレクトセールにおいて、これまでで最も高価格で落札したのが本馬フォトンブルーであるのだから、期待せずにはいられない。

 結果が出ればこれから武豊騎手とタッグを組む機会も増えてくるだろう。競馬界のレジェンドと強運の新興オーナーの関係が強まれば、両者にとってもWin-Winだろう。デビュー戦のゲートが開かれるまでもうしばし待ちたい。

冨樫某

キョウエイマーチが勝った桜花賞から競馬を見始める。まわりが学生生活をエンジョイする中、中央競馬ワイド中継と共に青春を過ごす。尊敬する競馬評論家はもちろん柏木集保氏。以前はネット中毒だったが、一回りして今はガラケーを愛用中。馬券は中穴の単勝がメイン、たまにWIN5にも手を出す。

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