今村聖奈「お手本騎乗」再現ある?タイキシャトルが背中押すテイエムスパーダ
最強マイラーといえば、どの馬か。
競馬ファンに聞けば、誰もがタイキシャトルの名前を候補の1頭として挙げるであろう。
近年は大ヒットした人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』(Cygames)に登場するなど、現役時代を知らない若い世代から当時を知る新旧ファンも巻き込んで“再ブレイク”。先日、バスレットレオンが出走して7着に敗れたジャックルマロワ賞(仏G1)でも、1998年に、このレースを制したタイキシャトルの強さを懐かしむ声も出ていた。
だが、非常に残念な知らせが17日早朝に届いた。前日までは元気な姿を見せていたものの、老衰による心不全で亡くなっていたことが明らかになった。28歳での大往生だった。
関東の名門・藤沢和雄厩舎が送り出した不世出の名馬は、5つのG1タイトルを獲得。そしてタイキシャトルは、師が天皇賞出走を熱望していた馬でもある。当時はまだ外国産馬に門戸が開かれておらず、勝ち負け可能な実力を備えていながらも出走は叶わなかった。
引退を目前に控えていた藤沢師が、昨秋の天皇賞・秋(G1)にグランアレグリアを出走させたことで話題になったが、府中の芝2000mを走るマイル女王グランアレグリアの姿を特別な想いで見守っていたかもしれない。
タイキシャトルの訃報について、主戦を任されていた岡部幸雄元騎手や藤沢和雄元調教師らが惜別のコメントを出しているが、競馬ファンとして気になるのは、やはり今週末の重賞レース。早速、出走メンバーを見渡してみたところ、タイキシャトルの血を引く馬を見つけた。
タイキシャトルが背中押すテイエムスパーダ
目を引いたのは、7月のCBC賞(G3)を今村聖奈騎手とのコンビでレコード勝ちしたテイエムスパーダ(牝3、栗東・五十嵐忠男厩舎)だ。
本馬の父レッドスパーダはタイキシャトルの産駒。そして、タイキの名前に関係があるのは、母父アドマイヤコジーンも同じ。アドマイヤ軍団の冠名を持っている同馬だが、生産牧場は大樹ファームであり、父母両方がタイキに縁のある血統なのだ。
前走は、今村騎手の重賞初騎乗初勝利をお膳立てしたとはいえ、主戦の国分恭介騎手が48キロの斤量で騎乗出来なかったことによる抜擢。好スタートから迷わずハナを取り切って3馬身半差の楽勝は、国分恭騎手にとっても勝ち方の“お手本”を見せてもらったようなもの。先輩騎手の意地を見せるためにも、負けたくないところだろう。
ただ、懸念されるのは、前走の勝利でマークがきつくなることと、3キロ増える51キロの斤量か。ここでも好走するようなら、スプリンターズS(G1)制覇も夢ではない。
力の入るこの一戦で、天国のタイキシャトルが背中を押してくれるか。