セントウルS(G2)C.ルメールの次は武豊が救世主!? 春とは大違いの不振も…「おこぼれ請負人」に回って来た棚ぼたチャンス
夏競馬の掉尾を飾った先週の開催も終了し、秋競馬の到来を告げる9月。ローカル競馬がメインの夏から、中山と中京へと舞台が替わる。
今週末には京成杯AH(G3)、セントウルS(G2)といった今後の短距離路線を占う重賞が組まれており、スプリンターズS(G1)制覇を目指すメイケイエールやブリーダーズCマイル(G1)への挑戦を視野に入れるソングラインの復帰は頼もしい限りである。
そして2頭が出走するセントウルSで逆転を目論むのが、ウマ娘オーナーとしても知られる藤田晋氏が所有するジャングロ(牡3、栗東・森秀行 厩舎)だ。
3連勝で挑んだ春のNHKマイルC(G1)は、それまで積極策で好走していた馬が、スタートで出遅れる致命的な不利。7着という結果に終わったものの、直線最後方から繰り出した切れ味には目を見張るものがあった。騎乗した武豊騎手も「ゲートがすべて」と振り返っていたが、後方でも折り合えたことには収穫があったと評価している。
巻き返しを期すジャングロ陣営にとって、ニエル賞(仏G2)参戦によるフランス遠征で主戦の武豊騎手が不在であることは残念だが、今回は福永祐一騎手に代打として白羽の矢が立った。
だが、肝心の福永騎手の調子が一向に上がってこないのは、少々不安に思える材料でもある。
2月にフェブラリーS(G1)をカフェファラオ、4月に皐月賞(G1)をジオグリフとのコンビで勝利した春の福永騎手は、確かに持っている男だった。これといったお手馬がいない中、前述2頭はC.ルメール騎手が主戦を任されていた馬であり、ルメール騎手が別の馬に騎乗することで福永騎手に出番がやってきた。形としては“おこぼれ”だったとはいえ、G1の大舞台で好騎乗を披露し、与えられたチャンスをしっかりとモノにした手腕はさすがの一言だ。
しかし、それ以降にまさかの不振が続いたのは、本人も想定外だったに違いない。
1番人気セリフォスの騎乗依頼が舞い込んだNHKマイルC(G1)も4着。先週末の小倉2歳S(G3)に出走したプロトポリスも自慢の末脚が不発に終わり、気が付けば重賞の連敗は18を数える。騎乗馬の13頭が4番人気以内、1番人気も6頭いたのだから、トップクラスの馬質の割に結果を残せていないといわれてもやむを得ないか。
ついにはネットの掲示板やSNSなどでも「ルメールの馬じゃないと勝てない」「春とは別人」「今の福永は買えない」といった声も出始める始末。福永騎手としても耳の痛いところだろう。
セントウルS 今年は中京競馬場が舞台に
だが、そんな福永騎手を後押ししたのは、セントウルSが京都競馬場の改修工事による影響で変則開催。例年であれば阪神で行われるレースだが、今年は中京競馬場が舞台となるのだ。
福永騎手といえば、“中京の鬼”といわれるほど大の得意にしているコース。そして今回タッグを組むジャングロもまた、中京2歳S(OP)を2歳レコードで圧勝したように、中京の芝1200mは願ってもない条件である。
当時、3馬身半の差をつけて置き去りにしたウインマーベルが、葵S(G3)を制しただけでなく、古馬相手のキーンランドC(G3)で1/2馬身差の2着に好走しているだけに、ジャングロも十分に古馬重賞で通用するはず。
勝ったとしてもまた“おこぼれ”という声は出るかもしれないが、有力馬の騎乗依頼をもらえること自体がトップジョッキーの証。思わぬ形で武豊騎手が救世主になってくれそうな今回、重賞連敗の続く福永騎手としても力が入るところだ。