戸崎圭太「正直、悔しいし情けない」川田将雅のG1制覇を屈辱の“傍観”。悪夢の日本ダービー2着から来春へ、獲りに行く3年前の忘れ物
11日、中山競馬場で行われた5Rの2歳新馬は3番人気ダノンゴーイチ(牡2、美浦・菊沢隆徳厩舎)が優勝。同馬を所有する冠名「ダノン」でお馴染みのダノックスにとっては、ダノントルネードやダノンザタイガーに続く、現2歳馬3頭目の勝ち上がりとなった。
フルゲート16頭立て芝1600mのレース。好スタートを決めたダノンゴーイチは3番枠の好枠を活かし、道中で内の4、5番手を追走する。
楽な手応えのまま最後の直線に入ると、鞍上の戸崎圭太騎手が外に進路を切り替えて追い出しを開始。そこから一気に加速し、逃げ粘っていたトレブランシュを並ぶ間もなく交わし去った。
「4コーナー付近で目の前を走っていたウィットサンデーが急減速したことにより、一瞬バランスを崩すヒヤッとする場面がありましたが、立て直した後は内からスムーズに追い上げ、終わってみれば快勝でした。
勝ち時計1分35秒2こそ目立ちませんが、2着に2馬身半、そこから3着に5馬身差をつける圧勝だったので、ここでは力が違いましたね。ゴール前では鞍上が手綱を抑える余裕すらありましたし、クラスがあがっても通用するポテンシャルは秘めてそうですよ」(競馬誌ライター)
ダノックスと戸崎騎手のコンビでの新馬勝ちは、昨年の安田記念(G1)覇者ダノンキングリーの新馬戦以来4年ぶりのこと。それ以前に勝利したダノンリバティはのちにオープンクラスを2勝し、2着に敗れたダノンスマッシュもその後G1馬へと出世するなど、過去の例を踏まえても新馬で勝ち負けした馬に限れば成功例しかない。そういった背景から、ダノンゴーイチの将来には早くも期待がかかる。
レース後には跨った戸崎騎手も「道中で不利があった際にも平然としていましたし、強い競馬でした」とその堂々たる走りを高評価しており、今後出世する可能性は十分ありそうだ。
また戸崎騎手にとっては、ダノックスとのコンビに懸ける特別な想いがあるかもしれない。何故なら、過去に上述したダノンキングリーの主戦を務めながら、あと一歩G1勝利に届かなかったからである。
川田将雅のG1制覇を屈辱の“傍観”
「正直、悔しいですし情けないのが本音ですね……」
昨年、安田記念を川田将雅騎手とダノンキングリーが勝利した際、元主戦騎手として『競馬ラボ』にて連載中の『週刊!戸崎圭太』で心中を明かした戸崎騎手。それもそのはず、4度の挑戦で成し得なかったG1制覇を初騎乗となった川田騎手にあっさりと一発回答されてしまったのだから、悔しさが込み上がるのも無理はない。
デビュー戦から3連勝で共同通信杯(G3)を制すも、皐月賞(G1)や日本ダービー(G1)では3着→2着とあと一歩及ばず。秋は毎日王冠(G2)を快勝し、再び「いざG1へ」というところで肝心の戸崎騎手が落馬負傷により戦線離脱……。運命の悪戯とばかりにチャンスは遠のいた。
その後、怪我から復帰しコンビ再結成で臨んだ安田記念と天皇賞・秋(G1)はいずれも惨敗に終わる。そこからは川田騎手が交代したのち結果を出し、昨年末にとうとうダノンキングリーは引退。最後まで手綱は戻ってこず、ダノックスとのG1勝利は幻と消えたのだった。
昨年悔しい思いを味わった戸崎騎手だが、ダノンゴーイチが順調にいけば名誉挽回の絶好のチャンスとなるだろう。改めてダノックスとのG1初勝利へ向け、リベンジを果たす時が訪れるかもしれない。