C.ルメール「疎遠」から起死回生の一撃! 新興オーナーとコンビ復活、沈黙を破る新馬勝ち
「すごくいい馬。走り方が良かったし、反応も良かった」
17日、中山競馬場で行われた5Rの2歳新馬は2番人気ティファニードンナ(牝2、美浦・木村哲也厩舎)が優勝。まだデビューしたばかりの2歳馬とはいえ、手綱を取ったC.ルメール騎手が絶賛した通り、その内容には光るものがあった。
13頭立て芝1800mのレース。大外13番枠から好スタートを切ったティファニードンナは、道中で外目の3番手を追走する。終始外を回らされたにも関わらず、楽な手応えのまま最後の直線に入ると、残り200mを切ってからは人気を分け合った1番人気のスノードームと一騎打ち。長い追い比べの末、最後はティファニードンナが外から捻じ伏せる様に差し切った。
「最後はクビ差の接戦でしたし、勝ちタイムも目立ちませんが、3着馬には4馬身差以上をつけていたように、ここでは上位2頭が実力的に抜けていたような印象があります。
レース後には2着だったスノードームの事を横山武史騎手が『かなり走る』と評価していたことからも、そんな相手に差し切り勝ちを決めたティファニードンナにはスケールの大きさを感じます。鞍上のルメール騎手も高評価していましたし、今後も期待できるのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
ティファニードンナを所有する三木正浩氏といえば、冠名「ジャスティン」や「エリカ」で近年活躍が目立つ新興オーナーだ。昨年の京都2歳S(G3)をジャスティンロック、今年のフローラS(G2)をエリカヴィータで制するなど、現3歳世代においては重賞勝ち馬を複数輩出している。
ところが今年の2歳馬に限れば、不調が続いていた。
エリカキルシェ、エリカフォンテーヌ、ジャスティンカプリなど、いずれも新馬戦で1番人気に支持されるも敗戦。未勝利戦も含め、いまだ現2歳世代においては0勝と苦戦が続いていた。そんな負の連鎖を止めた初勝利に、オーナーもホッと胸を撫で下ろしたのではないだろうか。
また、それは鞍上を務めたルメール騎手にも同じような事が言えるかもしれない。
「疎遠」から起死回生の一撃!
何故なら三木オーナーとのコンビでは、昨年こそ「6-2-2-4/14」で勝率42.9%、複勝率71.4%と好成績だったものの、今年に関しては先週まで「0-0-1-3/4」で勝率0%、複勝率25%と不振が続いていたからだ。
フェアリーS(G3)のエリカヴィータ(2番人気、10着)をはじめ、いずれも2番人気内の馬で結果を出せず、4月の新緑賞(3歳1勝クラス)をジャスティンカツミで7着に敗れた後は、今回まで約5カ月もの間、同オーナーの所有馬に騎乗することはなかった。
長らく騎乗依頼がなかったものの、今回は久しぶりのコンビ復活に加え、悪い流れを断ち切る快勝。双方にとっても、改めて価値ある勝利だったに違いない。
「能力ありそう。いい馬です」
レース後、三木オーナーの2歳一番星を飾ったティファニードンナをそう称えたルメール騎手。この勝利を機に、再びコンビでの活躍に期待が高まりそうだ。