JRAサトノダイヤモンドら「大苦戦」の中でリーディング首位快走! ディープインパクト後継争い尻目に「米国の刺客」から第2のジオグリフ誕生の予感

 夏競馬の終わりとともに、2020年生まれがデビューを迎えて早3カ月。ここまでの2歳リーディングサイアーを見てみると、エピファネイアが他を圧倒する15勝を記録して頭ひとつ抜け出している。

 昨年はディープインパクトの牙城を崩すことができず2位に終わったが、ディープインパクト産駒の最終世代となる今年度こそ頂点に立つことができるか。世代交代へ、まずは好スタートを切った。

 そんな大種牡馬ディープインパクトのラストイヤーということもあり、より一層注目を集めているのが新たな種牡馬の台頭だ。今年は新たにリアルスティールやサトノダイヤモンドといったディープインパクトの血を引く名馬が新種牡馬としてデビューを果たした。

 だが、彼らを上回る順調な滑り出しを見せているのがマインドユアビスケッツである。

「米国の刺客」から第2のジオグリフ誕生の予感

 同馬はアメリカのダートを主戦場に通算25戦8勝の実績を残し、2017年と2018年には1200mのドバイゴールデンシャヒーン(G1)を連覇。2018年のレースではコースレコードを叩き出すなど、ダート短距離路線で活躍した。

 日本での知名度もさほど高くなかったが、この馬に目を付けたのが社台ファームの代表を務める吉田照哉氏。2018年に引退後、種牡馬としての所有権を購入し2019年から社台スタリオンステーションで種牡馬となった。

 今年6月に産駒がJRAデビューを果たすと、ここまで33頭が計62回出走して8勝をマーク。上述したリアルスティールが4勝、サトノダイヤモンドが2勝に留まる中、新種牡馬リーディングの首位を快走しているのだ。

 ちなみに2020年産の2歳馬全体で見ても、勝ち星は先に触れたエピファネイアが15勝で断トツとなっているが、2位は9勝のハーツクライとルーラーシップ。すでに多くの活躍馬を輩出している2頭に食らいついているのだから、大健闘と言えるだろう。

 海の向こうからやってきたダートの実績馬が、日本で種牡馬となって良い意味で人々の期待を裏切る快進撃。思い返して見ると、1年前のこの時期に同じように注目を浴びたのがドレフォンだった。

 こちらもマインドユアビスケッツと同様に、アメリカのダート短距離路線で活躍。2016年にはブリーダーズCスプリント(G1)を制した実績を持っている。

 ドレフォンの父であるジオポンティが芝のG1を7勝していることもあり、芝適性の可能性にも目を付けた社台スタリオンステーションが種牡馬として導入すると、初年度産駒のジオグリフがいきなり札幌2歳S(G3)を制覇。翌年には皐月賞(G1)を勝つなど、以降も芝で活躍する産駒が多数登場した。

 そこで昨年の同時期(6月の産駒デビューから9月末まで)のドレフォン産駒の成績を振り返ってみたところ、12勝のうち芝が7勝でダートが5勝。2歳戦の早い時期はダートの番組自体が少ないこともあり、芝の勝ち星が優勢だった。

 それから1年が経ち、現時点でのドレフォン産駒のJRA通算勝利は「82」。その内訳は芝が17勝に対し、ダートが65勝。徐々にダートの番組が増えていくにつれて、芝を経ずにダートでデビューする馬や、芝からダートに替わって変わり身を見せる馬も多くなり、父の主戦場であるダートでの勝ち星も一気に増加していった。

 マインドユアビスケッツも産駒のJRA初勝利こそダート戦だったが、そこから芝が逆転。今では芝が4勝、ダートが4勝とピッタリ五分五分になっている。

 直近では、19日の中京1Rで芝デビューのマルカラピッドがダート替わり初戦を快勝。同日の中山3Rでも、芝でのデビューからダート替わり2戦目となったエリカキルシェが初勝利を挙げており、昨年のドレフォンをトレースするような形で勝利数を伸ばしている。

 ここまで打率は申し分ないだけに、これから求められるのは大舞台での“一発”。ドレフォンの一番星となったジオグリフは、札幌2歳Sで重賞初勝利を飾った後、3歳春には皐月賞を制覇。産駒デビュー初年度からG1ウィナーが誕生した。

 マインドユアビスケッツ産駒からも新たな大物が出てくるのか、新たな芝・ダート“二刀流”のスター候補に注目だ。

木場七也

29歳・右投右打。

本業は野球関係ながら土日は9時から17時までグリーンチャンネル固定の競馬狂。

ヘニーヒューズ産駒で天下を獲ることを夢見て一口馬主にも挑戦中。

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