不振続く名門に希望の光、菊花賞当日の「伝説の新馬戦」に超大物候補が登場
競馬ファンなら誰もが一度は聞いたことがあろう「サトノ○○」という馬名。菊花賞(G1)や有馬記念(G1)を制したサトノダイヤモンド、香港ヴァーズ(G1)や宝塚記念(G1)を制したサトノクラウンなど、これまで多くの活躍馬を輩出してきた精鋭集団だ。
その「サトノ」軍団を長年率いてきたのが、里見治オーナー(現在の名義は『株式会社サトミホースカンパニー』)である。
パチンコ・ゲーム機器大手セガサミーホールディングスの会長として知られる里見氏。馬主としても、過去にディープインパクトの金子真人氏やアドマイヤ軍団の故・近藤利一氏などを凌ぎ、クラブ法人を除く個人馬主ランキングでトップに君臨したこともある優れた相馬眼の持ち主だ。
先に挙げた2頭の他にも、サトノアレスで朝日杯フューチュリティS(G1)、サトノアラジンで安田記念(G1)を制覇。競馬界屈指の名オーナーといっても過言ではないだろう。
しかしそんな里見氏も、近年はG1や重賞勝利から遠ざかっている。
サトノクラウンで制した2017年の宝塚記念以降は、5年に渡り所有馬延べ39頭がG1に挑むも軒並み敗戦。重賞においても、サトノアーサーで勝った2020年の関屋記念(G3)を最後に2年間勝利がない。
窮地に追い打ちをかけるように、今年2月には桜花賞(G1)2着、日本ダービー(G1)5着のサトノレイナスが怪我から復帰出来ずにまさかの引退……。同馬を管理していた国枝栄調教師が「順調にいってたらアーモンドアイ(国内外でG1・9勝)に近いところまでいけていたと思う」と語ったほどの逸材だっただけに、里見氏にとってはあまりにも大きな誤算となったはずだ。
また今年のクラシックにおいても、これまで牡馬牝馬合わせてサトノヘリオスで皐月賞(G1)に出走したのみ。今週末に行われる菊花賞にも所有馬の登録はなく、その存在感も徐々に陰りが見え始めている。
「伝説の新馬戦」に超大物候補が登場
それだけに、不振続きの「サトノ」軍団の救世主として大きな期待を懸けられているのが、菊花賞当日に阪神・芝1800mで行われる新馬戦に出走予定のサトノグランツ(牡2、栗東・友道康夫厩舎)である。
ファンの間でも「伝説の新馬戦」として有名なこのレース。過去の勝ち馬には皐月賞馬アンライバルド、菊花賞馬ワールドプレミア、ダービー馬シャフリヤールなどG1馬がズラリと並ぶ出世レースであり、ここに初戦をぶつけてきたあたりサトノグランツに対する陣営の期待度が窺える。
また、同馬はホープフルS(G1)3着、弥生賞ディープインパクト記念(G2)2着のワーケアを兄に持つ良血で、昨年のセレクトセールにて1億1550万円で取引された高額馬でもある。父サトノダイヤモンドが制した菊花賞デーにデビューするのも、縁起がよさそうだ。
里見氏もすでに80歳と高齢であるため、今後多くのチャンスに恵まれるかどうかはわからない。復活の重賞&G1勝利の鍵を握るのはこの馬なのかもしれない。