惜敗続きの3歳世代が「低レベル」疑惑払拭へ、かつてのホープは復権なるか
12日、東京競馬場ではダートのマイル重賞・武蔵野S(G3)が行われる。1着馬にはチャンピオンズC(G1)への優先出走権が付与される他、同舞台で開催されるフェブラリーS(G1)も視野に入るだけに、今後のダート路線を占う重要な1戦といえるだろう。
実はこの武蔵野S、古馬混合ダート重賞の中でも比較的3歳馬の活躍が目立つレースである。2001年クロフネ、05年サンライズバッカス、09年ワンダーアキュート、2015年にはノンコノユメといった馬が、3歳時に勝利した後にG1馬へと成長を遂げている。
重賞レースとなった1996年の第1回から数えても、過去26年で3歳馬が7度優勝しており、その勝率はなんと13.5%のハイアベレージ。年齢別の成績でも他世代を圧倒している状況だ。
特に今年は、世代屈指の実力馬と目された1頭の馬の走りに期待がかかる。それがセキフウ(牡3歳、栗東・武幸四郎厩舎)だ。
セキフウは2歳時に兵庫ジュニアGP(G2)を勝利した他、サウジダービー(G3)やユニコーンS(G3)でも2着に好走している。地方交流や中央重賞、さらには海外の舞台で世代の一線級と渡り合ってきた。
前走は韓国へと遠征してコリアC(G3)へと参戦。地元韓国のトップホースはもちろん、香港や英国からも強豪が集った同レースで、メンバー唯一の3歳馬ながら3着に好走してみせた。今回は日本の古馬と初対決となるだけに、力試しの一戦ともいえる。
思えば、今秋に入ってからのダート重賞では数多くの3歳馬が出走しているが、未だに勝利を挙げることができていない。
3歳世代「低レベル」疑惑払拭へ
10月初頭のシリウスS(G3)は2番人気に支持されたハピが2着に敗れ、先週のみやこS(G3)ではハピと共にタイセイドレフォン、ブリッツファングの3頭が挑んだが、それぞれ4着、5着、12着と敗れてしまった。
先日のJBCにおいても、JBCレディスクラシック(G1)でグランブリッジが、JBCクラシック(G1)でクラウンプライドがそれぞれ2着。勝利にあと一歩に迫りながら惜敗が続いている。
一方のセキフウ自身も、2歳時には兵庫ジュニアGPを勝利し“世代のホープ”として台頭したが、その後の重賞戦線では好走しても、勝利にはあと一歩届いていない。前走のコリアCでは1番人気の支持を受けていた中で、地元の有力馬2頭に敗れた。海外遠征における調整面などの難しさはあったにせよ、陣営としては誤算だったかもしれない。
世代のトップホースたちが次々と古馬の壁に跳ね返される中で、一部のファンから「ダートの3歳世代は低レベル」と揶揄する声も挙がっている。こうした状況の中で、セキフウが勝利できれば、世代全体にとっても光明となるはずだ。世代の意地と自身の復権をかけて古馬との対決へ臨む、セキフウの武蔵野Sでの走りに注目したい。