「香港の藤田菜七子」は”圧倒的成功”!? 藤田菜七子騎手にニュージーランドへ長期遠征のススメ? 若手女性騎手の生きる道
それは藤田菜七子騎手が今年20歳を迎えるシーズンであることに対して、カーケイ騎手が24歳のシーズンであることに関係しているのだが、実はカーケイ騎手は香港でデビューする前にニュージーランドで修行していたのだ。
香港競馬では騎手学校に入学した生徒の多くは本国でデビューする前に、ニュージーランドで見習い騎手として、下積みを重ねるのが通例となっている。カーケイ騎手もそこで約3年間経験を積み、通算523戦43勝の成績を残している。
それもただレースに騎乗して成績を収めただけでなく、落馬によって脳震とうを起こしたり、親指を骨折したりするなど決して順調ではなかった。だがその分、そういった”貴重な経験”が今の活躍に活かされている。
つまり、祖国でのデビューは藤田菜七子騎手と同じ2シーズン前だが「経験値」という点では圧倒的にカーケイ騎手にアドバンテージがあるということだ。
しかし、では藤田菜七子騎手が約4年後の24歳のシーズンで、JRAリーディング11位につけられているかと考えると「さすがに厳しい」と述べざるを得ないだろう。
現在の藤田菜七子騎手は騎乗機会こそまずまず確保できているものの、なかなか勝てそうな有力馬に乗れない。5月1日現在のリーディング11位といえば27勝を上げている岩田康誠騎手だが、現在2勝の菜七子騎手が4年後に勝ち星を10倍以上にできるかといえば、やや非現実的だ。
それどころか現状が続けば、いずれはもっと厳しい立場に立たされる可能性もある。世界中からトップ騎手が集う今のJRAで這い上がるのは、多くの若手騎手にとって困難を極めている。
そこで、行き詰まりが見える現状を打破するためにも、藤田菜七子騎手もカーケイ騎手のように、長期間ニュージーランドで武者修行してみるのも良いかもしれない。
ニュージーランド競馬といえば、短期免許で日本でも騎乗経験があり、藤田菜七子騎手が尊敬しているリサ・オールプレス騎手が、女性騎手ながらリーディングを獲得した国。競馬のレベルは日本に劣るが、全体の約30~40%ほどが女性騎手となっており、女性騎手が活躍できる下地が整っている”先進的”な国でもある。
また、女性騎手としてデビューから最短日数で100勝を達成するなど、名古屋競馬で通算273勝を上げた山本茜元騎手は、かつてニュージーランドに長期遠征した騎手としても知られている。現地でライセンスを取るまでに時間が掛かり満足な実績を残せなかったが、JRAのバックアップが望める藤田菜七子騎手ならば、直接レースに参加できる可能性もあるはずだ。