日本競馬の憧れ、凱旋門賞の本当の価値…… 海外遠征取材を20年超継続、平松さとし氏が語る『勝利の条件』(後編)

平松:歴史もありますし簡単に勝てるレースではないのも事実ですが、その2頭であれば十分に勝ち負けできるポテンシャルはあると思いますよ。日本競馬のレベルはそのくらい高い。

記者:力強いお言葉、ありがとうございます。では最後に、長く海外遠征を取材してきた中で思う「日本競馬」と「海外競馬」の違いをお聞かせ願えますか?

平松:どちらにも優れている点はありますね。海外競馬は自然の森に柵を立て、そこで調教などを行っていて、馬が非常にリラックスした中で成長できる点は素晴らしいなと思います。自然と一体化した競馬はやはり美しいですよ。もちろん、日本で海外と同じ環境を求めるのは難しいですが。

記者:海外競馬からみた、日本競馬の素晴らしさはどういったところでしょう。

平松:日本競馬は、とにかく細かいデータを取る環境が揃っていますよね。決まった時間にどの厩舎のどの馬が調教しているのかも分かりやすく、ファンからしてもデータをもとに深い予想を楽しむことができる。日本競馬が娯楽としてここまで定着している大きな要因ですよね。人口における売り上げ比率では香港が1番という話もありますが、売上自体は他国と比較しても相当高いですからね。

記者:ありがとうございました!
(文=編集部)

『ミルコ・デムーロ×クリストフ・ルメール 勝利の条件』(KADOKAWA)

平松 さとし
昭和40年2月7日、東京都出身。
昭和63年に競馬専門紙「ケイシュウNEWS」に就職。その後、2紙経た後、フリーランスに。「ケイシュウ」時代は「さとしのびっくり馬券術」、日本経済新聞で「馬事往来」、スポーツニッポンでは「平松さとしのThe Keyman」「平松さとしの直球勝負」。週刊競馬ブックで「平松さとしのクローズアップホースマン競馬人」、東京スポーツで「平松さとしの重賞サロン」、共同通信で「平松さとしのKEIBA交友録」を連載。
『凱旋門賞に挑んだ日本の名馬たち -誰も書かなかった名勝負の舞台裏-』(KADOKAWA)、『世界を制した日本の名馬たち 欧米・オセアニア編』(KADOKAWA/中経出版)など著書多数。

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