横山武史「公開懺悔」から1年…有馬記念エフフォーリア復活を匂わせる既視感
25日に中山競馬場で行われる有馬記念(G1)で復活を目論むエフフォーリア。昨年のファン投票では1位だったが、今年の中間発表では2位。同世代のタイトルホルダーに1位を譲った。
春に精彩を欠いた影響がモロに出てしまった格好だが、本来の実力を発揮できれば現役トップクラスのポテンシャルを持つ馬。元王者の失地回復を望むファンの想いに応えることができるだろうか。
圧倒的な強さでライバルを退けた昨年の有馬記念は、見事な勝利を飾りながらも鞍上の横山武史騎手による「公開懺悔」に注目が集まった。
「皆さんご存じの通り、僕の不甲斐ない騎乗によって、出場停止になって……」
見事、年末のグランプリを制したはずの横山武騎手が口にしたのは、前日の土曜中山で行われた新馬戦に出走したエフフォーリアの半弟ヴァンガーズハートが敗れた件についてだ。
単勝1.7倍という圧倒的な支持を集めたレースで直線先頭に立ちながら、内から強襲したルージュエヴァイユの末脚に屈してハナ差負け。決勝線手前で数完歩追う動作を緩めたことが、明確に着順に影響があったとは認められないものの、騎手としての注意義務を怠ったとして2日間の騎乗停止処分が下されていた。
「有馬記念を勝てて嬉しいですけど、心の底から喜べないのが残念です。まだまだ本当に未熟で、ジョッキーがまだまだ本当に情けないんですけど、これからもっと気を引き締めるので、もっと頑張りたいと思います。よろしくお願いします。すみませんでした」
本来なら喜び一杯の勝利騎手インタビューとなるはずだった舞台で、反省の弁を述べざるを得なかった横山武騎手だったが、自身の“油断騎乗疑惑”が招いた失態にバツが悪そうだった。
有馬記念当日にエフフォーリアの半妹がデビュー
あれから1年……、有馬記念前に昨年のデジャヴを思わせる報せが舞い込んだのも何かの伏線だろうか。今年は前日ではなく、有馬記念当日にエフフォーリアの半妹となるペリファーニアがデビューするらしいのだ。
現時点でデビュー戦に騎乗する騎手は未発表だが、兄のエフフォーリアとヴァンガーズハートの2頭を管理している鹿戸雄一調教師の管理馬だけに、横山武騎手に再び白羽の矢が立つ可能性は十分に考えられる。
コンビが実現するようだと、横山武騎手は大一番を前に2年連続でエフフォーリアの弟妹に騎乗ということも起こり得る。重賞9勝(うちG1を5勝)の大ブレイクを果たした昨年に対し、12月に入って3勝(G1未勝利)の成績に物足りなさを感じているのは、横山武騎手自身のはずだ。
昨年経験した弟とのほろ苦い記憶を払拭するためにも、今年は妹とのコンビで勝利を挙げ、復活を期すエフフォーリアの露払いを狙いたいところ。まるで再現VTRを見ているかのような妹のデビューが、今年も兄の勝利への後押しとなるかもしれない。
3頭すべてを管理している鹿戸調教師の粋な計らいはあるだろうか。もし騎乗できるなら少なくとも、最後まで“油断”は禁物だ。